「なあなあ、新しいテーマパークできたじゃん」

昼休み、ご飯を食べていると唐突に君島が話を切り出した。

「ああ…」
「なんだよ青木!!もっと溌剌とした反応くれよ」

俺はとりあえず反応を示す。話になったテーマパークというのは、先月、学校の最寄り駅から電車で四駅先のところにできたテーマパーク。ネズミもクモ男もいないけど、それなりに地元民がたくさん訪れているらしい。

「そういえば、この間弟が遠足で行ってきたってなあ…」
「ああ、俺んとこもだ」

野球部がニコニコしながら話を広げていく。

「楽しかったって言ってたけど…それがどうかしたの?」

栄口がきょとんと君島を見つめる。君島は焼きそばパンを片手に立ち上がった。

「ふふふ…そこのオルゴールと共に動くオリジナル人形を好きな人と見ると幸せになれんだと」
「!!」

君島が得意げに伝えると、野球部の二人は一気に顔を真っ赤にした。おいおい、誰も「巣山と栄口二人で行ってこいよ」なんて言ってねーぞ。なあ、恥ずかしそうに顔を見合わせんなよ。こっちが照れんだろ。

「…君島、行く奴いねーじゃん」

アセロラジュースを飲みながら、工藤がぽつりと呟く。そして言われた本人は工藤の頬をちょんちょんとつつきながらニヤニヤ話し出す。

「いないからこそさ、その人形を爆発させに行こうかと」
「…触んな」
「え、だって工藤のほっぺやわらかくて気持ち良いんだし」
「………つかそんなことしたらお前捕まるからな。あとそんなことより隣見てみろよ学習能力の衰えが著しい君島くん」
「は」

工藤の言葉に、君島は振り向いた。すると、顔を真っ赤にした野球部。その二人とは裏腹に、君島の顔は真っ青になっていった。

「…やらかした」

そう言っても後の祭り。俺は溜め息を吐いて見守ることにした。結果は見えていたけれど。

「…テーマパーク、か」
「う、ん…」
「幸せに、なれんだってな」
「そ、そうだね」
「…」
「…」

ぎくしゃくと会話を進める野球部に、しばしの沈黙が続く。

「あ」

それを打破しようと言葉を発した巣山だったが、栄口に遮られた。

「す、巣山は!!」
「!」
「…そういうの、興味…ないもんね」
「…確かにそういうのには興味薄いけど……でも、好きな奴を喜ばせることにはすごい興味あんぞ」
「え!!」

俺はだんだんやり場のない思いが顔に出始めるのを感じた。

「今度の休み…行ってくるか」
「っうん!!一緒に人形見たい…な」
「当たり前だろ」

ははっ、と笑った巣山と、嬉しそうに笑う栄口。そんな二人を見ながら皆がフリーズしていた。

「何ー?野球部テーマパーク行くん」
「おう」
「じゃあ俺も行こうかな〜もちろん、かのじ」
「はいはいはいはいサッカー部に休みなんかないんですよ山口くん…てか、行かせねーよ?」

平和なのは幸せなことだと、軽く溜め息を吐きながら工藤と肩をすくませた。



***
ミウラ様よりリクエスト「仲良し一組ネタ」でした。
山口のくだりは個人的に大好きなので…またまた書いちゃいました。

ミウラ様!!
いつもリクエストありがとうございます!仲良し一組を好きでいてくださって本当に嬉しいです。
君島お好きなんですか!奴はあんなんですけど一応皆様から支持されていて羨ましい限りです。
これからもよろしくお願いいたします!!
リクエストありがとうございました。


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