※女体化ネタ
苦手な方はお控えください!




それは朝の出来事だった。

『すやまあ…どうしよ…』

電話が鳴り、アラームかと飛び起きたらそれは電話だった。しかも、恋人だけに設定された曲が流れていた。素早く電話をとる。

「…っと、えと…栄口、の電話…っすよね」

しかし受話器の向こうから聞こえたのは栄口の声ではなかった。あれ、でも姉さんの声でもない…あれ?

『そう、だよ…栄口…なんだけど…本人だけど…』
「、」

しかし聞こえるのは少し高い女らしい声だ。まあ人にはその人の声があるから何も言えないんだけど。

「風邪…とかで、声変になった…とか?」
『声、だけじゃなくて』
「…ん?」

俺は自分の耳を疑った。

『体も…女に、なっちゃったんだけど』



「ちーっす」
「よう青木。元気か」
「おー君島はよっす」
「あ、工藤もおはよ!!」
「はよ」
「あれ、何か静かじゃ」



朝、まず俺はとりあえず着替えて準備してソッコー栄口ん家へ走った。
待っていたのは「巣山くーん!!」「巣山さーん!!」と泣きじゃくる栄口姉弟。その後ろには薄い色素なベリーショートの可愛らしい女の子がいた。雰囲気が、栄口だったからすぐに分かった。
「どうしよう…」と戸惑う栄口を見て、色々考えたけどもう訳分かんなくなった。
とりあえずまだパジャマだった栄口をパーカーとジーンズに着替えさせて学校に来た。
で、今に至るわけで。

「おはよー巣山」
「おう」
「…と、栄口?なんかお前今日かわいくね?」
「っ」
「なんか顔柔らけーし線もやんわりしているような…」
「その説明だと女みたい、ってことだな」
「まーそんな感じ。あはは、そんなわけないのになあ」
「…」
「は」
「いや、あのさ君島…」
「…え、栄口なんか声まで可愛い…ん、ですけど…」
「だから…うん、つまり女になっちゃった…みたいな」
「え」

君島は栄口(女)を見て呆然とした。その話を聞いて、今まで気になっていながらもなかなか切り出せなかったクラスメイトがわいわいと集まってきた。一通り説明をする。

「つまり…栄口くんが朝起きたら女の子になっていたってわけね」
「そうなんだよ委員長…」
「こういうのは、漫画だと次の日戻ったりしているわよね」
「!」
「とりあえず今日を切り抜ければ、希望が見えてくるはず…!!」

かくして、栄口お守り大作戦は決行された。


「…えっと、今日の問題は栄口だな」
「!」
「前に出て書いてくれ」
「は、はい…」
「はは、緊張して声が裏返ってるな。リラックスしてやれよー」

栄口はこくこくと頷いて前へと走った。少し大きめのパーカーを着せてきたけれど、歩くと体の女性らしいラインがほんのりと浮かび上がる。先生が栄口を見つめる。やばい!!

「先生!!この問題が分からないので栄口が書いている間に見てください!!」

君島が大きく挙手をしながら発言した。ナイス!!

「ああ、分かった」

その内に栄口はぱぱっと黒板に書いて席につく。後ろから「ああ、こういうことか!!」という君島の声が聞こえた。


「today…Yutoに読んでもらいまショウ」
「え!?」
「What?ワカラナイ?」
「い、いや…」

長い英文は少しきつい。その時工藤が立ち上がった。教科書を手に読み始める。

「He is a teacher. But....」
「Oh、Kudo?Why?」
「Because…I love English very much.」
「!!ワタシ、とってもHappyヨ!!」



「…何とか切り抜けたな…」
「す、すやま…」
「、ん」

栄口なのには変わらないけど、やっぱ女の子の声で呼ばれるとドキッとする。

「ト、トイレ…」
「!!!」

そうだ今こいつは男子トイレなんぞに入られないのだ!!考えていなかった!!

「委員長…頼みがある」
「あら、そんな改まらなくっても話は分かってるわ。トイレ連れていってあげる」
「ありがとう委員長ー!!」

栄口は委員長に連れられてトイレへと向かった。

「あれ…次は…体育!?」

山口の発言で俺は栄口の運動着を持って後を追った。

「ついでにトイレで着替えてこい!!」

体育はサッカーだった。色々考慮してキーパーに栄口を置いたつもりだったけど皆は女子がキーパーということでなかなかいいシュートを決められずにいた。そんな中君島が「悪いが栄口!!俺のサッカー魂を受けとれええええ!!」と叫びながらゴールへボールを思い切り蹴飛ばした。

「っさ、栄口ー!!」

ボールは栄口の顔面に思い切り当たった。倒れた栄口に近寄ると、そこにいたのは普段の栄口。膨らみも何も無くなっていた。

「す、やま」

栄口は泣きながら俺の首に腕を回した。

「っく…俺、巣山と…ずっと一緒いたくて…女の子になりたいって…ちょっとだけ思って…」
「…」
「でも…でも、やっぱ俺…男が、いい…っ」
「うん、俺も」
「!」
「そのままの栄口がいいよ」

そう言ったら栄口はますます泣いてしまった。俺も抱き締め返した。温かい温もりが、心地よかった。

「今日また、ゲッツー練習しような」
「うんっ!!」

男同士の、拳をこつんとぶつけ合った。



***
あるく様よりリクエストの女体化栄口と一組でした。
初めて女体化書かせていただきました!!一組と一緒だったのではしゃいでしまいました。

あるく様、この度はリクエストありがとうございました。初めて女体化書いたので何だか忙しない話になってしまいましたが、愛をたくさん込めさせていただきました。
本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします!!


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