よく晴れた昼下がり。
昼食も済んだし寝ようかと思っていたら君島に声をかけられた。

「なあなあ巣山と栄口」
「んー」
「どうした君島」
「お昼寝タイムなところ悪いんだけどさ。リレーの順番どうする?」
「あー」
「そういえば俺達出ることなっていたんだっけ」

すっかり忘れていた。
うまく働かないぼんやりと思考を巡らす。

「君島はどう思う?」
「どうって?」
「俺は何番でも良いよ。だから君島が決めるって言っても賛成なんだけど」
「寝たいだけだろ?」

俺は小さく肩を叩かれる。衝撃に少しだけ目が冴えた気がした。

「俺も何番だって良いんだけどさ」
「うん」
「まあ与えられた順番で与えられた仕事こなせれば良いかなって思うしな」

爽やかに、さらっと格好良い言葉を紡ぐ恋人。
ドキン。こっそりと胸が高鳴ったのは内緒。

「そりゃあそうなんだけどさ。ただこいつからバトン貰いたい!ってのは無いか?」
「、え」

そう言われてつい巣山の方を向いてしまった。すると目が合った。もしかして…同じこと考えてた?

「お、俺巣山の前が良いな!!」
「、」

恥ずかしさを隠すように俺は言い放った。

「巣山が待っててくれたら、俺頑張れる気がするんだ」

部活だって、信頼できる姿を隣に確認できるとすごく安心するから。

「俺は栄口の後ろが良いよ」
「っ」
「栄口から受け取ったバトン、絶対に繋げねーとって思えるし」

まあ誰から貰っても思うんだけど。栄口からだと余計に力入るんだよな。

少し目を逸らされ気味で言われた。でも俺は口元が緩んでいくのをこらえきれなくて。

「…恥ずかしいよ巣山」
「お前だって恥ずかしいこと言ったじゃん」
「本音だもん」
「俺だって」
「はいストーップ!!」
「「、」」
「いちゃつくなら俺が行ってからにしてくれ」

君島はうんざりした顔をして言った。そんな顔しなくても良いじゃんかね。

「別にいちゃついてなんか」
「はいはい、一般の人から見たらそれはいちゃついているというんです。まず決めるぞ。栄口の次に巣山。この順番で良いんだろ?」
「うん」
「頼んだ」
「了解。調整してみるわ。はいどうもお邪魔しました」

君島は呆れたように去っていった。

「…巣山、俺の次だったら何位に落ちてるか分かんないよ」
「そんな心配いらないだろ。栄口なんだし」
「、でも」
「万が一転んでビリで回ってきたとしても」

巣山は俺と視線を絡めて言った。

「一位になってやんよ」

ほらいつも俺をこうやってドキドキさせる。

「自信家ー」
「栄口からのバトン、無駄にするわけいかねーだろ」
「…好き」
「え?」
「何でもないっおやすみっ!!」

さらっと出てしまった言葉を隠すように、俺は眠りについた。

体育祭、晴れたら良いな。



END



***
匿名様より六万打フリリク「巣栄で体育祭ネタ」でした。
体育祭ネタだというのに体育祭前なネタになってしまいました。
体育祭の一組は絶対可愛いですよね。互いに活躍するもんだから女子に黄色い声をあげられて。それで互いに焼きもち妬いて。
そんな感じもいつか書きたいです!!
書き直し希望などお気軽にお申し付けくださいね。素敵なリクエストありがとうございました!!



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