穏やかな時間

___



「えっと、ごましお!」
「お、お、…オレンジ」
「じ!?じー、じー…時刻表」
「う、ねえ…」

只今栄口は巣山の部屋でしりとり中。
勿論部屋には栄口と巣山一人ずつ。
何処かにでかけないのかと二人は誰かに聞かれたが、男の恋人同士が堂々と歩けるようなご時世じゃない。
それに、何処かに行かなくたって栄口は巣山の隣にいられるだけで幸せだった。

栄口がそれを巣山に言ったら優しく笑って「俺も」と言った。
幸せの形は、人それぞれ。

「う、うさぎ!」

さっきまで二人で課題をしていたけれど。
それが片付いてから何か暇になってしまった。
ゲームをするような気分でもない…
朝から部活だったからあんまり動きたくない…
ということで、無難なしりとりをしている。

「ぎ?ぎー…ぎっくり腰」
「あはは、ぎっくり腰?」
「ぎっくり腰」
「そういえば世界史の藍原がぎっくり腰になったって!」
「え、マジで?だから昨日自習だったんだ」
「黒板書く時腰反らせすぎだもん」
「はは、だな」

二人はたまにこんな会話も混じらせながらしりとりは続いていった。

「し、ねえ…し、したい!」
「え」
「え?」
「…し、したい?」
「うん、したい。」
「ああ…死体?」
「え、死体以外に何かあるの?」
「…いや」

純粋な気持ちで栄口を好きな巣山。
しかし、つい「したい」という発言にはドキッとしてしまった。

「最近ご無沙汰だしなあ」

そういう行為。

「え、何がご無沙汰?」
「あ、いや…“い”だよな」
「うん!!」

巣山は小さく息を吐く。
優しい風が窓から入り込んできた。

「…いつも、好きだよ」
「え…?」

巣山は栄口を抱き締めた。

「ちょ、す、巣山!?」
「…」
「…っ、“よ”、用意…してない、し」
「用意?」
「…」
「“し”ても…良いの?」
「う」

栄口は恥ずかしそうに俯いた。
キスを一つ落とすと、小さく頷く。

「“の”、ぞむのなら…」

そんな栄口が可愛くて、何度も何度もキスをした。

「ずっとしりとりしてようか。」
「え、」
「…終わるまでずっと、しりとり以外の声出したら駄目だぞ」
「…い、意地悪!」



END



***
るき様四万打フリリク「巣栄*自宅デート(甘)」でした。
甘いとのことでしたが…甘いでしょうか…
長らくお待たせしました!
この後のことはご想像にお任せいたします^^
有難うございました!!



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