ときめきを連れてくる
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「たーかや!」
また来たよ。
こいつも飽きないねえ。
「今日遊園地行こうぜ!」
「武蔵野は休みでも、西浦は部活あるんです」
「え、そうなの!?」
「…」
こいつは馬鹿か。
いや、今に始まったことじゃ無いけれど。
でも、部活が休みになると西浦の校門に立っているのはやめて欲しい。
恥ずかしいから。
「ちぇー、せっかく来たのによ。」
いやいや。
来る度同じ説明している気がしますけどね。
「分かった、じゃあな!」
元希さんは潔く帰っていった。
本当は、会いに来てくれるの嬉しい。
けど、そんなこと言うわけにもいかないから。
***
「じゃあなー阿部!」
「んー、また明日」
着替えを終えて、俺はせっせと帰路につく。
今日は課題が多いから早く帰ってやらないと。
「ん?」
自転車に跨がると、前方に誰かがいる。
暗くてよく見えないけれど、確かにいる。
しかも何かしら動いている。
「…変態か?」
「お、おーっ隆也!」
「…も、元希さっ!?」
「ずっと、筋トレやら何やらやってたんだぜ」
まさか、俺が来るまでずっと…か?
「…馬鹿だ!ただの馬鹿ですよ元希さん」
「うっせー」
元希さんは俺に清涼飲料水のペットボトルを手渡した。
俺はそれを飲む。
本当なら身体の中からじんわり冷えてくるはずなのに。
何故か熱いままだった。
「隆也?」
「…また、来てくださいね」
「…っ隆也!!」
俺は元希さんに抱き締められて。
暑苦しかったけど、何となく心地よかったから逃げずにいた。
多分俺は、もうずっと前から元希さんのこと…
***
おまけ
「また来てくださいねとは言いましたけど」
「うん」
「毎日毎日来ないでくださいよ!」
「だって、隆也に会いてえもん」
「〜…っ!」
結局、貴方には逆らえません。
(このわがままが嬉しいなんて、俺も重症だよな)
END
***
万里のサイト一周年記念に捧げます。
おめでとう\(^^)/
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