02の続き…というか栄口君視点っぽいです



「巣山遅いなあ…」

今日は二人の二年記念日だっていうのに。
巣山にプロポーズされたのがつい昨日のように思えるし、もう何年も昔のことのようにも思える。
それだけこの二年間は幸せで、充実していた。
それに、家に帰れば誰にも邪魔されずに巣山の隣にいられる。
そんな毎日は、二年前までは想像もしていなかったのだ。

「これも、本当は指につけたいんだけど」

首に繋がれたシルバーの鎖を服の中から引っ張り出す。
一目が少し気になってなかなか指に付けられずにいる。
それは巣山だって同じだ。なかなか付けない。
家ではたまに付けるけど、やっぱり外へ出る時は外してしまう自分がいて。
ああ、もっと自信を持って巣山を好き!って言えるようになりたいのに。
なかなか出来ないから歯がゆくて、もどかしい。
この気持ちは多分巣山とも共有していると思う。

「…つけちゃおうかな」

当たり前のことなんだけど、俺の言葉に返事をする人はいない。
それが妙な感じで少しだけ寂しくなった。早く会いたいよ。

「あ、ケーキ買ってない」

去年は巣山がケーキを買ってきてくれた。
で、今年は俺がケーキを買うって約束していたんだけど…
巣山間違えて買ってきちゃったらどうしよう。食べれば良いのか。
ケーキは贅沢品だだと思っていた俺も、自分達のお金で食べるってなるとまた遠い存在に思えてしまう。
巣山はそれを聞いて「記念日だけ食べるか」って言ってくれたんだ。
あんまり甘いのが得意ってわけじゃない巣山には甘くないの買ってこよう。

「…でも」

巣山はいつ帰ってくるか分からない。
もしかしたら俺が出かけている間に帰ってくるかもしれないし、まだ帰ってこないかもしれない。
お疲れだろうから、俺を待たせたくない。

「、よし」

出かける前にご飯もお風呂もでかしていこう。
それが今俺が巣山に出来ることだもんね。
俺はエプロンを付けて台所へ向かった。


***


「二年記念日おめでとうー!!」
「おめでとう、そしてありがとう」
「ありがとう!」

巣山も帰ってきてケーキも買ってきて。早速プチパーティーが始まった。

「あ、栄口」
「え」
「ん」

巣山が見せてきたのは自分の薬指。そして俺の薬指に視線を送っていた。

「あ、」
「やっぱ、考えることは同じだよな」
「…だねえ」

やっぱ記念日くらいは普通の夫婦みたいな感じでいたいよな。

巣山の言葉に少し照れ臭くなって、俺はシャンパンを一気に飲み干した。



END


***
やっぱり相手を待つなら栄口君が適任かなあと思いまして 笑
楽しいですねこのお題!!有難うございます!!

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