「イチノさーんっ一緒帰りましょうー!!」
部活が終わり、着替えているイチノさんの隣まで走る。ちなみに俺は着替え終えた。
「、着替えんの早すぎだろ」
イチノさんはワイシャツのボタンを留めながら溜息を吐いた。ああ、何か幸せ。
「早く着替えてくださいよー」
「待てって、そう急かすなよ」
「あ、イチノさんボタンかけちがえてますよ!」
一瞬の内にイチノさんの顔は真っ赤になって。
慌ててボタンを外そうとしてるけど焦ってなかなか外れない。
俺はそんなイチノさんがどうしようもなく愛しくなって手を伸ばした。
「、ちょ何やって」
「ボタン、外してるんですよ」
「っ自分で外せる!」
「外せてなかったじゃないですかー」
プチン、プチン、という音と一緒に、イチノさんの温度が伝わってきてドキッとした。
「はい、終わりました」
「…留めるとこまでやったのかよ」
「はい!じゃあ帰りましょー!!」
「なんでそんなテンション高いんだよ沢北」
「良いじゃないですか」と言いながらイチノさんの背中を押して部室を出る時に、河っさんに睨まれて松本さんや野辺さんにニヤニヤされて深津さんに真っ直ぐ無表情で見つめられたけどそんなことは気にしていられない。
「イチノさん」
部室を出て数歩歩いた所で俺はイチノさんの隣に並んだ。
「何」
「手、繋ぎましょう!」
「…は?」
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