「さーわーきーたー」
「え」
「お前、告白されたんだって」
「な、なんで知ってるんすか!!」
「さあな」

イチノさんだな!
とその人の姿を探すけど、体育館にその姿は無かった。
あれ、逃げるような人じゃないし…違うのかな。

「しかも、好きな人いるとか言ってたんだろ」
「う」
「まあ、大体は分かるけどな…」

河っさんは意外に鋭い。
前そんなことを深津さんに言ったら「お前が分かりやすいだけだピョン」だなんて言われた。
そんなことはないのに。

「…言わないでくださいよ」
「言うわけないだろ、あっちのためにもな」
「あっちのため?」
「いや、こっちの話だ」

気になる一言だったが、それは体育館に入ってきたイチノさんの声によって宙に消えていった。

「ちわーっす」
「イチノ」
「委員会で遅れた」
「了解、よし、始めるピョン」

深津さんの一言で部活が始まる。
そして一斉に体育館の真ん中へ集合のために走り出す。
俺は優しい風が、窓から入ってくるのを感じて目を閉じた。





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