「初めまして栄治君。やっぱり何度見ても惚れ惚れしちゃう格好良さね。お母さん聡がこんな良い男連れてくるなんて思わなかったから嬉しいわあ」
「栄治君背すごく高いな。体もガッチリしている。前聡から聞いていた物凄いルーキーって君のことだろ?イメージより何倍も爽やかだな、本当に」

イチノさんに呼ばれて一階のリビングへ向かうと、ご両親が待っていた。
さっきは物凄く驚いていたようだったけど何だったんだろう。てか褒めすぎでしょ。

「イチノさんも素敵な先輩でいつもお世話になっています」
「まあ、礼儀もちゃんとなってるわね。将来は安泰だわあ」
「…は?」
「聡も真面目に働いて二人で頑張って暮らすんだぞ」

ニコニコしながら話を続けるご両親の横に並ぶイチノさんの顔を見る。
え、何これどういうこと。

「さっきは御免なさいね、びっくりしちゃって」
「あ、こちらこそすんません…?」
「だって聡が恋人連れてくるって言ってたから彼女だと思うのが普通でしょ?そしたら彼氏だったんだもの。驚いちゃったわあ」
「、え」

えええ!!?
声にならない程の叫びがこみ上げてこないようにぐっと堪えた。
イチノさんが俺を恋人だって感じてくれているなんて知らなかった。泣きそう。

「…母さんと二人で出かけてくるから、ゆっくりしていけよ」
「行ってきまーす」

二人はニコニコと出て行ってしまった。あれ、この空気何なんだろう。

「御免な沢北。なんか勘違いしてたんだけど引っ込みきかなくなって呼んだんだ」
「…そうだったん、ですか」

イチノさんが俺を恋人だと認めてくれている訳じゃなかったんだ。そりゃそうだよな。
お試し期間だってことを、忘れないようにしなければいけない。




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