「え、明日?暇ですけど…」
「俺んち、来ない?」
「え」

付き合い始めて一日目は、イチノさんから声をかけられて始まった。

「イ、イチノさんち…ですか?」

ゴクリ。俺はにやける口元を、汗を拭く振りをして隠した。
やばい、嬉しすぎて死にそう。恋人関係って素晴らしい。

「や、うん…付き合ってるんだし…」

そう言いながら俯いたイチノさんはすごく可愛かった。
うわ、なんかドキドキしてきた。まだ朝練中だっていうのに。

「行きます!そうですよね、俺達付き合ってるんですもんね!!」

イチノさんの手をぎゅっと握った。今の俺はきっと世界で一番の幸せもんだ。

「…サンキュ」
「こちらこそ有難うございます!イチノさん大好きです!!」

そう言うと「なんだよいきなり」とか言いながら顔を赤くするイチノさんがいた。
抱き締めてしまいそうになる腕をぐっと引っ込める。

「楽しみにしていますね!」
「おお」
「じゃあ明日は一緒に帰れますね!」
「…おお」
「でも、今日も一緒に帰りま」
「沢北ああ!!」

イチノさんへのお誘いは河っさんの怒声で消え去ってしまった。
罰として一人で(手伝ってくれようとした人達は皆強制で帰らされた)、朝練の片づけをさせられてしまった。河っさんの馬鹿。言えないけど。




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