数秒の間、にらみ合い。 にらみ合いというか、見つめあい。 (うわ、この表現の仕方も気持ち悪い) 沈黙を破ったのはあたし。 『……やるんですか』 「1on1。できるよね?」 挑発的な目で見つめられる。 あたし、負けず嫌いなんだけど。 そんな目で見ないでほしいな、うん。 『いいですよ。元バスケですし』 「やっぱり。中学の時、見た子だ」 『ストーカーですか』 「入学時期1年も違うけど。ストーカー言わないで」 これから動くために、着ていたブレザーを脱ぐ。 堅苦しい格好から、カーデというラフな格好になる。 『……からだ、鈍ってるかもしれないです』 「いいよ。一回してみたかっただけ。君とバスケ」 『あたしバスケうまくないですよ?』 「いいからやるよ。負けたら罰ゲームね」 『え』 罰ゲームという言葉に少し汗が流れる。 何、だろ。 いやいやいや。 あっち現役でも、一応頑張ってみるだけでしょ。 これでも強豪中学バスケの主将やってたんだから。 |