(……?何、この匂い)


納戸にまで届く、この匂い。
独特な秋の匂い。











今年は秋に連休ができたから、陣内家に来てる。

夏に予定が入って来れなかった名前も今回の連休は大丈夫だったみたいで、一緒に長野まで来た。


母さんは妹が生まれたからって家にいる。

父さんは仕事で忙しいから来れない。


だから今回の連休は二人で来た。

家も近所だし、学校でも会ってるから別に久しぶりとかじゃないんだけど、どうしてもあの夏に一緒にいれなかったのが心残り。

だから少しだけ、


胸のあたりに何かが引っ掛かってる感覚がずっと取れない。





なのに、だよ。





『健二さーん、お芋あーん』

「えっ!名前ちゃん?!大丈夫、ひっ、一人で食べれるよ!」





この光景は、なんなの





焼き芋の匂いがしたから来てみれば、健二さんに"あーん"って、何。


『そんな遠慮はいらんです、ほら健二さん』

「えっ、遠慮とかそんなもんじゃ、なななないよ?!」

『照れる健二さんおいしいです』

「えっ、名前ちゃん?!」



隣にいたのは僕なのに。




『お、佳主馬!焼き芋食べるー?』

「かっ、佳主馬くん?!」




健二さんだって僕が怒ることわかってるなら、最初から名前に関わらなきゃいいのに。




「行くよ、名前」

『お芋さんー』

「焼き芋より美味しいものあげるから」

『ほんと?うぇーい!』



とたたたっと僕の後ろを掛けて追いかけてくる。


さっきまではあんなにイライラしてたのに、名前の小動物の様な動きが愛くるしく思える。





『かずまぁー、美味しいものー』

「僕だけ見て」

『……?』





僕は足を止め、名前に口付けた。






『にゃにゃにゃっ……!ふぁふぁふぁっ!!』



言いたいことは分かる。
ファーストキス、でしょ。




「何って、焼き芋より美味しいもの」

『佳主馬って、』


「好き。だから」








隣にいる僕だけ見て












▼はんせい
一二三様リク、佳主馬甘でした!
佳主馬嫉妬してますかね?
というか佳主馬夢を書くと、夢主が変態なりかけ。
セーブセーブ。

企画参加有難うございました!


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