「きょ、今日さ」
「うん」
「…あの、さ」
「うん?」
「…天気いいな!」
「そうだね」
ああ何でこうなっちまうんだよ俺!俺が言いたいことはこんなことじゃないのに…!もっと、もっと大事なことなのに…。
今日は9月5日。つまりつばさの誕生日だ。電話で言うなんてそんなの嫌で、俺は俺らしく会って言おうと思った。だからつばさを公園に呼び出した。なのになかなか言い出せない俺。へたれかよ!
「暑いねー」
「そう、だな」
9月になったとはいえ、まだまだ日差しは強いしこのまま秋が来ないんじゃないかって心配になるくらいだ。そんな訳でつばさは薄着だし、オシャレしてるし、なんか可愛いし…あーもうくそ!
「どうしたの?」
「あ?」
「翔ちゃん今日なんか変だよ?」
「そ、そうか?普通だろ」
あーもうそんな可愛い顔してこっち覗き込むな、上目遣いとか反則だろ!
「こ、これ!」
「なにこれ」
「やるよ」
「くれるの?開けていい?」
「おう」
好奇心で目を輝かせてるつばさも可愛い。ピンク色に染まった指先も可愛い。少し明るめに染まった髪も、細い指も、全部全部俺には可愛く見える。
「これ、指輪…」
「ピンキーリングだけどな。ちゃんとしたのは、もっと仕事が軌道に乗って、養えるようになったら渡すから、それまで待ってろ!」
「翔ちゃん…」
つばさが目を輝かせて覗き込んでくるもんだから(あーもうダブルパンチとか俺死にそう)逆に俺が耐えられなくて目を逸らしちまった。何で俺だけこんな、心臓ばくばくとか、かっこわりぃ。
「貸してみろ」
「ん?はい」
指輪を受け取って、つばさの小指に通す。あまり言えないけど、そんなに良いものじゃない。だけど、つばさの細い指に合ってると思う。独りよがりじゃないといいけど。
俺の手に自分のを重ねて、ぎゅってしてくるからもうどうしようもなくなった。あ、やばい、汗かいてきた。9月といってもまだ暑いし、まぁそれだけじゃないけど。
「ありがとう、本当に嬉しい」
「ん」
人前じゃあんまりキスしたがらないつばさからそれをもらって、俺の方こそ幸せだと思った。
かいじゅう
(優しいね)
120820
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碧子より頂きました!
愛想笑いにて企画していた誕生日を祝ってくれるというもの…!
9月5日は私の誕生日ということで、早速企画に参加させて頂いたところ!
こんな素敵な小説をもらいました!
ありがとう碧子!すきよーっ!!!
間宮