「ねえ新一、いい加減つばさに告白したらどうなの?!」

「ぶっ!!!!」



今日の放課後はつばさが委員会と日直で遅くなるから蘭と帰ることになった。
俺は待ってるって言ったんだけど、多分予想以上に遅くなるみたいだからと蘭と先に帰ってと念を押された。

別に先に帰るのはいいんだけどよ、俺はお前と帰りたいんだっての。
むすっとしてたら今度は蘭のやつがいきなり…こ、告白とか言うから思わず吹き出しちまった。




「ばっ、バーロー!」

「否定しないってことはやっぱりつばさのことが好きなのね?」

「……!」



こうして見ると蘭に何も言い返せない自分が悔しい。違うと言い切れず、好きだと言い切ることもできない。



「さっさと告白しなさいよ!新一ならあのクサイくらいの気障な言葉でも言って告白するんでしょー?」


ニヤニヤと効果音がつきそうなくらいの笑顔でこっちに顔を向ける蘭にため息が漏れる。
俺だって早く好きだって言いてえんだけど、このまま告白しても返事をもらえる自信もない。言ってもつばさ自身は俺のことただの幼なじみだとしか思ってねえだろうし。


「おめーに関係、ねえだろ…!」

「大アリよ!」

「あ?」

「だって聞いてよ新一!つばさったらあたしが新一のことを好きだと勘違いしてるのよ?!推理オタクの新一を好きとかありえないじゃない!そしたら挙句の果てに今日、一緒に帰ってねって」

「まて、」




なんだそれ。初耳だ。
あいつは委員会と日直があるって言ってた。そりゃあ学校の集まりだし仕方ねえけど……。
ひっかかる。


日直は本当だ。今日確かにつばさが日直だった。
仕事だってやってたし日誌も書いてた。

だけど委員会は………?

あいつの委員会は図書。確か図書委員会は昨日集会を開いたばっかりでその内容が『この一ヶ月の間に本を借りた人で、まだ返却していない人に催促をする準備』だったはずだ。
明日からの学校の年間予定にも何もイベントはないし、図書委員会で何か企画してるって話もなかった。


ということは……あの馬鹿。




「蘭!悪い!学校に忘れ物してきちまった!先に帰っててくれ!」

「えっ、あ、うん」


蘭から聞いた話からすれば、つばさは変な気をきかせて蘭と俺を二人きりで帰らせるつもりだったということ。ということはあいつは用もなく学校に残ってることか。

早く迎えに行ってやるか。







20120929

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