大事件だ。大事件が起きた。 これは一世一代の大ピンチでしょうか。
すこし水辺でふざけ合ったあとに、佳主馬がちょっと飲み物買ってくる、といなくなったのでパーカーを脱ぎ海に入ることにした。 ……なんて考えが甘かったんだろうか。
「…!!!」
咄嗟に腕を組むように水着に手を当てる。 ちょうどいいタイミングで佳主馬も戻ってきた。
「名前、入るなら入ってるって言ってよね…」
ん、とタンクトップを脱ぐ佳主馬がかっこよくて眩しくて。 細いのに引き締まった体とかみて興奮しそうだけど、そんな場合じゃない。
「か、かず、ま」
「何。もうバテたの?」
「たたた、助けてください…」
「は?」
首元にあるはずの感触が消えているのに気づいた。 そう、水着の紐だ。 間一髪腕で抑えている。
「ひ、ひも……っ」
「は?紐?」
佳主馬は意味がわからないといった顔をしてわたしがいる海にジャバジャバ入ってくる。 そして近づくにつれて意味を理解したのかいきなり慌て始めた。
「なっ、なんで取れてんだよっ!」
「なんでそこ?!取れたもんは取れたんだもん!!」
「そっそんなもの着てくるから悪いんだろっ!」
「なっ、なに!そんなものって!!!」
せっかく佳主馬と海に行くためにこの水着を着てきたっていうのに佳主馬はそんなものって言うんだもん。 呆れて海を出ようと浜辺に向かおうとした時だった。
「ぐえっ」
「待ちなよ」
首に佳主馬の腕が周り、勢いよく引っ張られた。
「いいよ佳主馬なんか阿呆馬鹿タラシ!」
「なんだよタラシって」
いいからじっとしてて。そう言って紐を結んでくれる佳主馬。 紐なんて自分の一部でもなんでもないのになんかすごいドキドキしてきて一秒がすごく長く感じた。
まだまだ日は長い。
------- 遅ればせながらお待たせしました間宮です! まだ海のターン続いてしまいました。春が、きますね(白目) 次は青谷ちゃんですよろしくお願いします!!
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