「あ、こんなところにもいた!」

「もうこれお化け屋敷じゃないじゃん…」

「お化け屋敷だよ?」

「……」

 佳主馬にもういいなんて言われてしまって、なんだか呆れられたようだけど、まあいいや。だってさ、お化け屋敷でお化け探すの楽しいじゃん?ごめんねこんな女の子で。好きな人の前くらい裾握って怖そうにするべきだよね。でもね、お化け屋敷好きなんだもの。それにわたしの腕の中にはもふもふのキングがいるし。

「さっ、出口探そー!」

「はぁ」

 あ、溜め息つかれた。完全に呆れられたなあ。でもいいもん。佳主馬はいつもいるけど、お化け屋敷は年に一回くらいだから楽しまなきゃ。

 その後も次々お化け捜索をして、最後は眩しい光の中へ。暗闇から出た時、少し目が眩んだ。

「はーあ、楽しかった。ね!」

「…そう?」

「あれ、佳主馬顔青くない?」

「気のせいだよ」

「いや、そんなことない。青いよ」

 気のせいだと頑として譲らない佳主馬を近くのベンチに座らせ、高いジュースを買ってきた。お祭りなら売れるからって、値上げしすぎだっての。
「はい、これ飲んで」

「いらない」

「いいから!意地張らないの!」

 渋々飲んだ佳主馬を見て、わたしも隣に腰掛ける。ふう。何もしなかったと言ったら語弊があるけど、大したことしてないのに結構疲れたなあ。ベンチの下で足をぶらつかせる。それに伴って下駄もぶらぶら。

「どう?気分良くなった?」

「元々気分悪くないし」

「はいはい。でも大丈夫そうね」

 何故だかそっぽ向く佳主馬に笑って。意外とお化け屋敷苦手なんだ、佳主馬。覚えとこ!じゃあもしかして、わたしがお化け探しをしていなかったらもっと怖がってたってことだよね?ああ、失敗。こんなことなら楽しみを抑えて佳主馬観察をじっくりしてれば良かった…!でも、結局お化け探しで佳主馬は気持ち和らいでたことになるよね?わたし良い子じゃん?

「あ、」

 その時花火があがって、暫く花火を眺めていた。綺麗。大きいのや小さいの、後から遅れてくる音が胸に響いて、それも心地良くて。

「綺麗だね」

「…月が、綺麗ですね」

「え?月?ああ、綺麗だね」

 花火に見とれていて月の存在に気付かなかった。ごめん、お月様。でも、お月様より花火のが綺麗だと思うな、お月様は年中見られるんだし。…月が綺麗ですね、か。……ん?月が綺麗ですね、って、もしかして、えっと、その、そっちの意味!?

「……」

 慌てて隣を見ても佳主馬は空を見上げるだけで何も言ってくれなかった。


月が綺麗ですね

□□□□
突然の佳主馬きゅんデレ期キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!お化け屋敷なんてろくに入ったことない私に書かせるのはおかしいよ…
まみやんバトンタッチ!

碧子



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