「………、」



ふう、と小さく零れた溜め息が誰もいない部屋に響く。
辺りはオレンジに染まっていて、サラリーマンや学生たちに加えさまざまな人が行き交う。


この時間帯はとても好きだ。


たくさんの人間が自分に寄ってくるように群がり、色々な人間を観察できる最高の時間帯だから。


デスクの上に置かれたパソコンに指を走らせ、今日も毎日のようにやっている情報とやらを集めたり弄ったりと、そんなことをやる。
俺は相変わらずな薄ら笑みとやらを浮かべているだろう。

ここ最近、俺の知らないところで情報が出回っていたり、お得意様というやつが少しずつ減ってきている。
そのお得意様というやつに当てはまる奴に聞けば、情報の出回っている原因が分かるわけなのだが、聞こうと思い情報を集めても必ずたどり着くのが消息不明。

俺の知らないとこで情報が出回り、挙げ句には除け者のようにされた感じが俺の苛々を最高潮まで達させた。


でも今は頗(すこぶ)る機嫌がいい。


学校に行って屋上で自殺掲示板にカモがいないかと探していれば、すぐにシズちゃんに見つかったりして最悪だったが、その後に出てきた女は何だ?あの転校生、鶴原つばさは何だ?

俺とシズちゃんの間に割って入ってきた。しかも戸惑うことなく。
一人はナイフを持ち、もう一人は道路標識を持っているのに、怖がることなく。そう、怖がることなく自分を盾に使い仲介した。


ああ、実に面白い女だ。


キーをリズムよく叩き、つばさについて調べていた。





「鶴原つばさ、埼玉出身一人暮らし。趣味は読書にネットサーフィン。特技は空手に柔道、剣道、そして弓道…エトセトラ………何、オールマイティって?」



何ふざけてんのさ。









ああもう時間の無駄









20110716


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