夏戦 | ナノ


27




気がついたら目の前に名前さんの顔があった。

OZで負けた。それはゲームだから絶対勝つつもりで次に挑めるけど、今回は違った。
みんなの命が、かかってた。

あの短時間でそれだけはわかった。あいつがヤバイってことくらい。


でも、涙が出ることもなく悲しくもなく、ただ悔しかった。

僕が泣かないから代わりに泣いてるんだって名前さんは言うけど、なんでそんなに苦しそうなの。(遠くに行っちゃうみたいな、)


その泣き顔が綺麗で、穏やかで、


「名前さんって…………」


綺麗だなって思った。


そう思ったら知らないうちに手が名前さんの方に伸びてて、気がついたら名前さんに触れてた。キス、してた。

僕だって何してるのかよくわからなかった。
勝手に体が動いたんだ。

よくわからなかったけど、気持ちよかった。触れてる部分が熱を持ったみたいに熱かったけどなんだか一つになったみたいだった。



だたあとから我に返ってみるとなんだかやらかしてしまったようで、会って間もない名前さんにキスしてしまった後悔とこれから壊れそうな関係への恐怖。



そっか、好きなんだ、名前さんが好きなんだ。








自覚






(嫌われてないかな、)

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テーマ「人外ファンタジー」
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