夏戦 | ナノ


22

 


佳主馬はそれっきり黙ってしまった。

オレは大好きなこのサマーウォーズの世界に来ることができたけど、これから起こることが全部わかってる。

このこともわかってた。


わかってるけど言えないんだ。

その上でオレは対処に入った。
入ったのに、見てて辛いあの佳主馬を目の当たりにして体が固まった。

動かない。


時間が止まったようにも思える。



あの顔をさせたくなかった。
その想いをさせたくなかった。
あの小さな背中が震えているように見えるのはオレだけかもしれないけど、中学生が背負うには大きすぎたのかもしれない。


オレは、なに、も。




できてない










健二くんが真吾たちを納戸の外に出しているのを横目で流してから、前に座る佳主馬の横に行って小さく震える右手にオレの左手を重ねた。



「……………」

『佳主馬は強いよ…』










強くてオレの弱さを知らされるんだ





((泣きたいのは名前さんなのに………何してんだろ僕は、))

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