夏戦 | ナノ


20




偽ケンジとカズマの間に割って入ったオレには勝算とか別にそんなこと考えてるわけなかった。
ただカズマの佳主馬の役にたてれば、それだけの想いと。コイツにだけはムカつきがおさまらなかった。



「「え」」




偽ケンジの右からきたパンチを左手で受け流し、かつその腕を素早く掴む。
(よし、間に合ってる。スピードには大体ついていける)

偽ケンジのこのスピードにはついていけることがわかったことで、なんとか気持ちに少し余裕ができた。




「名前さん!」

『大丈夫少しの間だけ、粘ってみる。』


だって……



佳主馬から教わったOMCだもんな。少しはやってみせないと。佳主馬に合わせる顔ねえんだ。
そう言葉をつなげば、少しだけ佳主馬の顔つきが変わった。よかった、佳主馬はまだやれる。そう思ったとき、すっかり忘れてた存在がいた。




「あっゲームだ!」

「僕にもやらせてー」



このガキ共の存在を。




佳主馬の背中から画面を覗き込むように身を乗り出してくる。そういえばカズマが負けたのってこいつらが原因だった。





「やめろっ!はなせっ!」



『ばか佳主馬っ』



「ああっ」





気づいたときには遅かった。ターゲットをオレよりもカズマに向け、偽ケンジは攻撃してきた。(オレよりも動けないカズマに行くのかよ……っ!)









体を後ろに吹き飛ばされた君









((ああもう、やっちまった))

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