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何もできずにいる健二くんの横から佳主馬の細い腕が伸びる。
....★
殴られていた仮ケンジがすぐログアウトされた。あ、偽ケンジが仮ケンジを探してる。(仮ケンジ受け……おいしいな)
キョロキョロと周りを見回している偽ケンジに突然の強い衝撃。偽ケンジは吹き飛ばされ近くの建物に当たる。
体勢を立て直そうと立ち上がる偽ケンジ。
偽ケンジの見つめる先には―……
頭から伸びる白く長い耳。腰にはチャンピオンベルトをつけた、誰もが見慣れたアバター。
{あれは……!!}
近くにいたサクマが声を上げる。(やっぱキングって有名なのか)
"キング・カズマ!"
....★
一気に画面が吹き出しで埋め尽くされる。
むしろオレがキングktkr!って書き込みたいぐらい。でもさ、その現場にいるってどーなの。
「……!?佳主馬くん、キミ……。キミがキング・カズマ!?」
パソコンの画面に映っているのはキングカズマ。
佳主馬のタイピングで動いている。(欲しい、きんぐ。欲しい……)非常事態?ああ、気にしない、気にしない。
佳主馬は気になるけど。(タンクトップの隙間をオレに見せるなぁーーッ!!)
あのさ、片っ端頑張ってるんだけど。
(キングの指ちゅっぱちゅっぱしたいとか(気が合うな))
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