06
おばあちゃんに優しく頭を撫でられて、部屋を後にした。武士の血をひいているから恐いかなとは思ったけど、全然優しい人だ。今隣を歩く佳主馬も。
……そういえば、OZからメール来てたんだっけ。
『あ、ねぇ。OZ教えてよ』
「……いいけど。全部話してくれるんでしょ?」
『う゛』
覚えてたのか、コイツめ。ちきしょう……もとい、可愛かないよ。だってあれでしょ?おばあちゃんに言ってないことまで話さなきゃいけない、ってこと。佳主馬に秘密握られちゃうじゃん(……でも佳主馬なら……、)そんなことを思う。
『わかってるよ』
照れ臭くなって俯く。佳主馬はオレの気持ちがわかったのか、「ほら行くよ」と手を掴んで歩き出した。(強いから、優しさがあるんだよね……)思わずにやけてしまう。(あ、やばい。変態じゃん、自分。)とか当然の事を思ってしまう。顔が緩むのを、必死に我慢しようとして顔が変だったのか、ふと後ろを向いた佳主馬に「顔、すごいことになってるよ」と言われ、顔が熱くなる。(……変態なのは自覚してるけど、佳主馬に見られたから、流石にはずい……)気付けば納戸の前。
「携帯とパソコン、どっちが使いやすい?」
『どっちかってと……パソコンかな』
「…わかった。パソコンは持ってないよね。太助さんに借りてくる」
『ん?ああ、』
佳主馬は一人スタスタと歩いて行ってしまった。一人になって一息つく。今思えば(オレ、どんだけ冷静なの)と。夢の中でトリップすることはある。でも分かる。これは夢じゃないと。
本当にトリップしたんだ。
(名前さん、パソコン持ってきたよ)(あ、わざわざありがとう)
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