私はムラクモ13班に所属している者だ。
職業はS級のサイキック。
趣味ばある者゙を弄る事。
まぁ、私にしてみれば単なる暇潰しだ。
特に深い意味はない。
「ただいー……あれ?」
どうやら来たようだ。
因みに私がいるのはムラクモ13班の休憩室。
部屋の照明を全て落としである者゙を待っていたのだ。
「おーい、誰かいないのかー?」
怖がる事もなく、部屋に入って来るその男に思わず笑ってしまう。
それもそうか、幾多の絶望を乗り越えたのだからこれ位は何ともないと言う事か。
「くく……っ」
まぁ私としては驚かすつもりは微塵もないのだがな。
「…うーん、スイッチ何処だ?」
私がいるとは思っていないのだろう。
スイッチを探しているその男の背中へ私は静かに忍び寄る。
タイミングを見計らい、指先にアイスの魔法を集中させてから首筋へ手を当てた。
「…う…わぁっ?!」
「……っ」
ふむ、予想通りの悲鳴と反射神経である。
驚いた男は咄嗟に武器の刀を取り出して、私の首へ当てていた。
勿論、鞘に収めた状態で。
「ふふ、相変わらず良い悲鳴を上げてくれるな」
半分冗談で言えば、男は非常に驚いた様子で刀を引っ込めた。
「そ…その声はハサイダ?!何だよ、いるなら返事くらいしろよな……吃驚したぞ!」
「私の気配に気付かないお前が悪いだろう?」
そう言えば目の前の男は顔を赤くして背を向けてしまった。
…真っ暗なため本当に赤くなっていたかは分からんが。
まぁ、私の妄想でカバーしているから良いだろう。
「…お前ってさ、よく俺に仕掛けてくるよな……。それ嫌がらせ?」
この反応は…拗ねているのだろうか。
だとしたら、嬉しいものだな。
「何を言う、単なる暇潰しだ」
「悪意を感じるんだけど」
「なに……悪意?」
おっと、これは逆に誤解されているパターンだったか。
私とした事が己の都合だけで考えてしまっていたな。
「すまない、私はただ……二人きりの時に聞く悲鳴が好きなのだよ」
「は……はいっ?!」
私の言葉を聞くなりバッと後ろを向くその顔は、とても可愛く見えた。
…気がしただけだが。
「お前悪趣味だな!」
「うん?どうした、……顔が赤いぞ」
「ち が うっ!」
声を大きくして言うのは図星だったのかは分からないが…これはこれで十分な暇潰しになった。
私はそれに満足して背を向けている男の肩に腕を回し、顔を近付ける。
当然、真っ暗で相手が反応が出来ないのは計算済みだ。
「おやすみ、サハラ」
耳の近くで囁きながら、頬にチュッと音を立てて体を離す。
暗闇の中を迷わずに出入口の近くに歩いてから、エレキで部屋の照明を点けてやるのも忘れない。
あれからあの男の動きは無かったが私は振り返る事もせずに、部屋から出ていく。
「……しかし、今日は意外に静かなまま終わってしまったな」
まぁ、それはいい。
今日は一段と良い暇潰しになったものだからな。
次は何を仕掛けてみようか…。反応が楽しみだ。
(イタズラも度が過ぎればなんとやら)
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真っ暗闇の中で何をしているんだ二人共…!
多分あの後、サムライは固まってると思われます。
サイキックのキスは挨拶代わりのキスという…これどうでもいい事ですね。すみません。
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