もしもサイキックになったダランが着たら。
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あはっ、これを渡すなんてネコも意地悪だねぇ…。
こんな…こんな物を僕に…。
「全く、猫耳はサハラが似合うのに…」
僕はぽつりと呟いて、ハッとする。
これはもしや、チャンス?
ネコは僕にチャンスをくれたのかな?
゙サハラにアタックしろ゙というチャンスを…?
「なぁんだ、それなら喜んで着ないとね」
僕はこれからの事を考え、顔をニヤけさせながらネコから貰った服に袖を通した。
「サーハラ」
「うわぁ?!」
サハラを見付けたので背後から勢いに任せて抱き着けば、少しよろけながらも倒れる事はない。
それを良い事に僕は更にギュッと抱きしめる。
あぁ、猫って良いな。
普段ならこんな風に抱き着いた事はないし。
「ん〜、髪サラサラだねぇ」
「わ、な、何して…、……!?」
「イイ匂いがするよサハラ」
少し匂いを嗅げば風呂上がりだったのか、爽やかなシャンプーの匂いがした。
サハラにピッタリな匂いで僕は更に匂いを嗅ぐ。
猫が鼻をヒクヒクする様にしながら。
「…や、止めろよくすぐったいな!」
でもそれが嫌だったのかサハラは腕の中で暴れだした。
あぁ全く、もう少しこのままでいさせてよ。今は僕だけの特権なんだから。
「…離せってダラン!」
「もうちょっと、ね」
「今すぐ離せ!」
「やーだ」
ニコリと笑えばフードの耳がピコピコ動くのが分かった。
それを見たのかサハラは顔を真っ赤にしているしあぁ、可愛い。
まぁ、赤くしているのが僕に対してじゃないのは後から気付いたけれど。
「……お前ら、何してる?」
「うわっ…ヒムロ!……さん」
場を読めない部外者が来たからだ。
サハラは人の気配を感じて顔を赤くしたらしい。
「…変な奴に好かれてるな、サハラ」
「変な奴じゃないよ失礼だなぁ」
僕は若干呆れている様子のヒムロに向かって、消えてよと言えば意外な反応が返って来た。
「…いや、サハラが嫌がってる…見逃せないな」
「……!!」
「ヒムロさん…!」
あれ、おかしいね。
邪魔者が増えちゃったみたいだ。
このパーカーには敵を増やす効果が付いてるのかな。
全く…敵が多くて困るよ。
「…ふふ」
僕はヒムロを見ながらサハラを更に強く抱き締めた。
残念、渡さないから。
(ダランは嬉しい時に動くみたいです。
とりあえずヒムロを出してサハラの救出を…)
category:思い付き