03





決意したものの、揺らぐものは仕方ない。



ひ、人がいっぱいいる………


目の前に広がるきらびやかな光景
みんな華やかな衣装着て、すごく眩しい

隠れるところ……ないし。
やっぱいろんな人が俺と兄さんを見るし


「エド、大丈夫?」


その声に顔をあげると、誰よりも眩しい兄さんがいた
やっぱり兄さんは他とは違う


「だ、いじょうぶ…」

「無理しないでね。なるべく俺の側から離れないで」

「うん…」


でも、そんなことしたらいつまでたっても兄離れ?出来ない気が…。
たぶん、どっかしらには顔見知りがいるはずだから、その人の所にいこう。


そうこうしてるうちに、どんどん女性に囲まれていく兄さん
初めは俺も自己紹介をされていたけど女性が増えていくにつれて俺は輪の外に追い出されていった。


……仕方ないよな。


というか、母様も父様もいないし……


壁にまで寄って、回りを見渡す。
ああ、嫌だ。こういう時過剰反応をしてしまうのかみんなが俺を見てる気がする

だからなるべく下を見続けるんだけど、偶然顔を上げたとき、ある男と目があった。

………あ。


俺をみつけて軽く手をあげて近づいてくる青年
雰囲気は兄さんと全く別だ


「エドウィンじゃねえか」

「……ウェイド…」


雰囲気は別だけど、兄さんに負けないほどの女性からの人気がある彼
兄さんの幼馴染みで、奇跡的に俺とも交流がある


……また身長のびたんだなあ…


「久しぶりだな、今何歳だ」

「15…」

「へぇー。相変わらず童顔だな」


……気にしてるのに…


俯く俺の頬を鷲掴んで、顔を無理矢理あげさせてきたウェイド
触れていきた指がタバコくさくて顔をしかめる


「お前、もっとしゃきってしてろよ。いちいちうつむくんじゃねえ」

「……」

「返事」

「…ふぁい」

「よし」


頬を離して、頭を撫でてきたがその撫で方も乱暴で。

兄さんとは正反対だ


「あの優男は?」

「…………あそこ」


女性の溜まり場を指差すと「またか」と呆れるウェイド
ウェイドは女性が嫌いらしい。


「あいつ、いっつもいろんな女の香水くさくなるからやなんだよな」

ウェイドはタバコ臭いじゃないか、と思うけど絶対言えない。

「ウェイドはもっと女性に優しくしたら…?」

「うーるせ。俺は優しくしなくてもモテるからいいんだよ」


……確かに。

身長も筋肉も俺とは違ってあるし。
この国では珍しい黒髪で、それだけで目を引くと言うのにこの美貌だ。

口も、素行も悪いけど。


「お前はあんな男になんじゃねーぞ」

「………」

「なんだよ」

「……ううん。」


ウェイドは他の人と違うことを言う
みんなは兄さんと俺を比べるのに、ウェイドはああなるなって言ってくれる。

……それが嬉しかったり。



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