可愛く笑う悪魔

後輩×先輩






馬鹿だなあ、と目の前の後輩を見て思わず笑った


忘年会だからと言っていろんな奴に飲まされまくった後輩
今潰れて俺のひざの上で死んでいる



「園部、起きろ」



話し相手がいなくてつまらなくなった俺が、後輩の柔らかい茶髪に指を通した


俺もだいぶ酔っているな。
口のニヤケも取れないし、目の緩みにも気づいている



「起きてますよー」


後輩は口だけ開いてそう言った
呂律はギリギリと言った感じか



「重いんだよ馬鹿。俺の膝は高いんだぞ?」

「俺の特等席ですからね」

「調子乗るな」



頭を軽く叩くと「いてえ」と後輩が力の抜けた笑みを零した
赤く染まっている目元

やらしい顔しやがって

この顔で何人の女をたぶらかしたんだ?



「志藤くん、園部君どう?」



同じサークルの女の子が様子を見にやってきた
彼女も酔っているのか、ほんのり顔が赤い

狙ってるのがわかってるけど、ちょっと太ももが見えたり鎖骨が見えたりするのを見るとそそられるんだよね。男だから。


その上、顔も可愛い。




「園部は死んだかなー。俺を相手にしてくれる人いなくて暇してたの」



にっこり笑うと、彼女も少し照れくさそうに笑ってくれた。
お、手応えあるかも



「じゃあ私でよければ相手になってあげる」


そう言って足を崩す彼女


彼女が持っていたアルコール度数の低いチューハイを渡された
…こんなんじゃ飲んでる感じしないけど…


まあ、酔ってるからいいっか。



「真理ちゃんかわいいよね。モテるでしょ?」



糞みたいな常套句を吐いた
自分でもおかしくて、クスクス笑いながら彼女にそう言うが、真に受けた様子の彼女


「そんなことないよ〜志藤君に比べたら、全然モテないって〜」


手をパタパタ振りながら照れている彼女に馬鹿だなあって思った。


単純すぎるだろ
このままホテル誘ってもついてくるなこりゃ


つか比べる対象がおかしい
俺よりモテる奴なんて男女合わせても園部くらいだ




「真理ちゃんの彼氏羨ましいわ」


セックス激しそう
普通にフェラとかためらいなくしてきそうだし。



アルコールのお陰で頭の中が下ネタ万歳になってることにも気づかず彼女は「ほんとぉ?私も志藤君の彼女羨ましい」なんて言ってる


ちょんっ、と俺の太ももに触ってきた指先


…まじで笑っちゃうくらいホイホイだな




こりゃ完全OKサイン出してるようなもんだやったね、と思っていると、今まで静かだった園部がムクリと起き上がった




「あれ?園部どうした」

「園部くん水でも飲む?」



俺と真理ちゃんが口々に園部に尋ねる

まだちょっと表情がパッとしない園部。頬も染まっている。




「気持ち悪い…」



園部がポツリとそう言った

あ?トイレか?



「いってら」

「先輩も来て」

「え、なんで」



無理矢理腕を引っ張られて真理ちゃんと引き離された

ああ…まあいいか、戻ってきてからで…




「園部ー、酔っててもトイレには行けないとダメだろ」



店の中だから、一度靴履かないといけないのも面倒くさいし…


やれやれ手のかかる後輩だと思いながら園部に腕を引かれるがままトイレへと向かう


が、




「おい園部、トイレは右」


まじで酔ってんのか?


確認しても園部は無視して違う方へとずんずん足を進める
そして、気づいたら出口に出た



「・・・え?何?立ちション?」


「冗談でもやめてくださいよ」



だよなー、
園部が立ちションてやばい。考えるのやめよ。



外に出た後も、少し歩いて気づいたら人が通らないような真っ暗な路地に連れていかれた
電灯がうっすらついてるけど、本当暗い

おいおい…



「園部、どこまで俺を拉致するの」



…と言ったところで振り向かれた
うっすら見える園部の顔は、やっぱり酔っ払いのそれ



けれど、さっき見たやらしい目元はしてないでちょっと苛立っているようだった



「あれ?怒ってるの?」

「うん」

「どうして」

「先輩があんなブスに構ってるから」



そう言って、物凄く濃厚なキスを俺にしてきた園部

丁度ぽかんとしていた俺の口の中に舌まで入れてまるで恋人にするようなキスをする





おいおいおい、と内心ドン引いたが、如何せんこのキスがあまりにも気持ちよくてそのまま身を任せてしまった


さっきまであんなにエロい事考えてたんだ、今更真面目ぶるのもな。




「ン…っ、何だよ…」



チュプ、とやらしい音を立てて、唇が離れた
暗くてよく見えないけど、色っぽい唇がなんとなく見える




「言っとくけど、俺の方が先輩の事気持ちよくさせてあげれるよ」

「はあ・・・?」



何のことだか、と思うが、もしかしてさっき俺が真理ちゃんに対して思ってたことを言っているんだろうか


なんだよこいつ、エスパーかよ…



「いや、さすがに男はさ、俺…」

「気持ちよさそうに舌絡めといてよく言いますね」

「ああ、まあ・・・ね。」



事実を突きつけられ、目を泳がしながら頷いた


でもこいつが言ってる事ってそういう事じゃないだろ?
たぶん、セックスの事言ってるんだろ?

セックスできるの男相手に?

いや普通は無理だろ
顔が女でもちんこあったら無理

男の俺が言うんだ、本気でそいつが好きかホモならまた別だけど…


・・・ってことは?




「え、俺の事好きなの?」



『?』しか出てこない。珍しく動揺してるわ俺。

まあ、ちょっとスキンシップ多いなあっては思ってたけど…


え、まじ?そうなの?



「ぶっちゃけ、会うたびにハメたいって思ってました」

「わあ・・・」


そんなド直球な。

つか俺ハメられる側だったんだ…
一気に尻に意識が集中する。怖い。



「でも先輩俺の顔好きでしょう?」

「まあ、好きだけど…」

「じゃあ、キスも出来たんですしその先もいけますよ」



園部が俺の腰を撫でてなんか官能的な触り方をし始めた

待て待て、このままじゃ普通にムラムラしちゃいそうなんだけど

でもまあ確かに園部セックスうまそう…
顔も良いし、身体もいいし、…やべえな、たぶん俺動かなくても俺の事気持ちよくしてくれるんだろうな…妊娠しないし…超良い物件じゃん


「え、待って俺つっこまれるの?ケツに?」


そのことを考えたら正気に戻った

うわー、裂ける裂ける
そんなん絶対裂ける



「大丈夫ですよ、何回も弄り続ければそのうち後ろでも感じるようになりますって」



ついにはここでおっぱじめるのか?って感じの雰囲気で、園部が俺の首筋を舐め始めた
首を甘く噛んだり、下から上にゆっくり舌を這ったり


ああ、やべえ…気持ちいい…

女って毎回こんな気分浸ってんの




「ん…悪くないかも…」



はあ、とすごく甘ったるい吐息が漏れた
酔ってるせいで気だるいのもある。



「俺セックスすごく上手いよ」

「そんなの、見た目からしてわかるよ」

「ふふ、フェラはしたことないからわかんないけどね」



ジーンズの上から俺の息子をゆったりと撫でられた

・・・こんなの、我慢しろって方が無理だろ


ビクビクと童貞みたいに過剰反応する身体
「あッ…」なんて、自分でもキモイと思うような喘ぎ声が漏れたし




「反応いいですね、可愛い」



人差し指で、ツツツと下半身の際どい所をなぞられて、俺はついに負けを認める




「…ホテル代出せよ」




気づいたら自暴自棄になっていた。









その夜、俺はもう本当に無茶苦茶に抱かれた
全ての性感帯を攻められて俺はほとんど泣きながら喘いでいた

さすがにまだ、尻にあいつのアレは入れてないけど、指でグニグニ弄られまくった
なに?あいつ手マンであんなの身につけられたのかな。超うめえのなんの。

前立腺って、あんなに気持ちいいのってくらいやばかった。腰抜けた

フェラだって、あいつ初めての癖にめちゃくちゃ気持ちいいし。
…俺も咥えたけど。

どうだったんだろう、でもあいつイってたし…


本当に、とんでもない夜だった






そして、朝、俺は枕で顔を隠しながら絶望に浸ってた。
俺の腰の上に園部のであろう腕が乗っている。


はー、俺は酔っていたけど意識はあったぞ。
園部だって、あったし。


それなのになあ、一時の快楽にあんな身をまかせるハメになるとは。




「気持ちよかった?」



眠そうな声が後ろから聞こえてきた。


柄にもなくビクッと体を反応させてしまった俺。



「おい…びっくりさせるなよ」


誤魔化すように園部に声をかける


「ごめんなさい」と適当に言った園部が俺の事をさらに抱きしめた
…おいおい、こんなのまるで恋人同士じゃねえか。



「園部ホモだったの?」

「好きになっちゃった人が先輩だっただけです」



逆に俺のどこに惚れたというのか。


うーん…と悩んでいると、服の中に違和感




「園部…朝から盛るなよ」


尻にもなんか当たってるんだけど。



「はあ、だって昨日の先輩想像以上に可愛かったんだもん。思い出しちゃった。」


「っなにが思い出しちゃっただよ…、んン、」


園部の少し固い指が俺の乳首を弄り始めた

この焦れったい刺激から逃げるように体を丸めるけど、それに覆いかぶさって止めようとしない



しかも、空いている方の手で俺の下半身にまで手を出し始めた園部



う、嘘だろー、こんな朝っぱらから




「先輩、一夜限りの過ちだと思った…?」




園部の色っぽい囁きに、思考が停止した。


え、違うの?
・・・・・え?




「これから毎晩抱いてあげるね。」




どうやら俺は、

とんでもない不良物件を買ってしまったらしい