パシャリ

そんな電子音で目が覚めた



「あれ、起こしちゃった?」


ぼやーとする頭の中に聞こえるのは穏やかな声
あれ、この声…



「あ、れ…!?」


ガバッと起きてその存在を改めて確認する
なんで成幸さんがここに…!


「今何っ…」

「5時くらいかな。あはは、みんな爆睡してたねー」

「うわあ…」

寝すぎた…。
みんなで寝すぎた…。

ていうか今成幸さん写真とんなかったか?


腹の上にあったはずの頭はいつ間にか太ももの上にあって未だに心地良さそうに寝ている。
今の衝撃でも起きてない


なんとなくポスン、と髪の毛に指を埋めると眉に力が入った



「なんか君たちって本当可愛いね。みんな弟になってくれたらいいのに」


携帯を見ながらそう呟く成幸さん
あ、やっぱ写真とったんだな。


「…やかましくなりますよ」

「問題ないよ」


ポンポンと緑川を撫でる成幸さんの表情はすごく優しい
…実の弟の方は撫でないんだな


俺たちのために持ってきてくれたのか薄いタオルケットを渡されてお礼を言う

さすがに冷房ガンガンで体が冷えていたからとても助かった。



「明日の教科なんだっけ」

「現代文と英語です。」

「そっか、じゃあまだいいね」


まあ同じ問題出るしな
それにしても二人とも爆睡しすぎではないのか


「もうちょっと寝かせてあげようか。双葉くんもう一回寝る?」

「いや、俺は英単語でも読んでます」

「そか、頑張ってね」


ポスポスと頭を撫でられて思わず笑う
優しいお兄さんだ。



…つか俺緑川起きるまで動けないんじゃね。

動こうと思っても下手に動けない


幸運にも身近に合ったリュックを引っ張って単語帳を出す
ついでに携帯を発見したが、着信も何もなし。
案の定だけど。


……寂しいような、ホッとするような



寝息で満ちる部屋の中、おもいため息がやけに大きく響いた。





[ 55/79 ]

[] []
[目次]