成幸さんを追いかけるようにしてお店を出る



「す、すみません何か…!」

「いーえー」


謝ると成幸さんが苦笑する


もう、緊張やら罪悪感やら苦しさでぐったりだ。
ぶっちゃけ成幸さんが入ってきてくれたお陰で助かった。


「成幸さんが来なかったら気まずさ全快でした」

「…それはよかった」


というか咄嗟に帰るのテスト終わった日とか言っちゃったけど、どうしよう。
緑川の家にでもお邪魔しようかな



「テスト終わりの日まで俺の家いていいよ」

「えっ」

「さっきちょっと立ち聞きしちゃった」

ポンポンと頭を撫でられてカァ、と顔が赤くなるのがわかる
うわ、恥ずかしい。内容聞かれてたのか。


「いや、でも、」

「いいって。全然気にしないで」

「…っ…」


ね、と微笑まれてその優しさに息がつまった

成幸さん、いい人過ぎる。



「弟も大歓迎だろうし。」と言われ「ありがとうございます」と頭を下げる

松本にも感謝だな



「でもびっくりしたなぁ、従兄弟さんすごく格好いい人だったから」


湊さんの話になって、ドキリとした。
その通りだけど…


「成幸さんも充分カッコいいじゃないですか。」

「やー、あの人には負けるよ」


タイプが違うからな…

成幸さんが穏やかな感じで、湊さんは、んー…
いろんな面を知ってるから決められない


「きっと従兄弟さんは双葉くんのことすごく大切に思ってるんだね」

「…な、んでですか?」


その言葉にトクトクと胸が熱くなる
どうしてそう思うんだろう


「俺にずっと威嚇してたから」


威嚇……?

きょとんとする俺にあはは、と笑う成幸さん



「早く仲直りできるといいね。」


「………はい。」



威嚇って、どういうこと湊さん。



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