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自覚した途端目の周りが熱くなり、涙が零れそうになっているのだと知る
……嘘だろ
「す…いません、ちょっとトイレ行ってきます…」
「?…いってらっしゃい」
成幸さんに知られないよう、頭を下げて目を前髪で隠す
やばい、喉の奥痛ぇ…
今にも嗚咽を漏らしそうになって口を手で抑えてトイレへと駆け込んだ
「…っ、はぁ…っ」
扉を閉めてトイレットペッパーを顔に当てる
泣くなよ俺、だせえな。
自分に必死に言い聞かせながら座り込む
あぁ、苦しい
これから俺はどうすれば、
「…どうすればいいんだよ…」
俺は、どうして湊さんに恋をしてしまったんだろうか
いつから?
…わからない
わからないことが多すぎてもしかして恋じゃないのかも、と期待したくなるが出てくる涙がそれを否定する
くっそ…
目を瞑れば出てくるのは微かに見た女性と湊さんが楽しそうに話していた姿
俺は湊さんの従兄弟だし、第一男だ
どちらにしろ叶うわけがない
例え俺がこの思いを告げたとして、湊さんに気持ちがられるのは目に見えているから、言うつもりはないけれど。
きっと、避ける俺を見て湊さんはそれを自分のせいにして原因を探すだろう
優しい人だから。
…だから、俺はその優しさに惚れたのかもしれない
ただ、単純に。
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