この熱を冷まして





「いらっしゃーい」

「お邪魔しまーす」
「しゃーす」


「おー。」



学校が終わって放課後
俺と緑川は一度荷物をとりに家に戻ってから松本の家にやってきた


すでに私服の松本。つってもジャージだった。さすがだ。


少しだけドキドキしながら家にあがると以前来たときとあまり変わっていなかった。



「狭いけど俺の部屋でいいよな」

「うん。」


そのまま案内されたのは二階
あー、やっぱなんか人んちってドキドキする

つか兄貴はもういんのかな



「あー、もうテストやっちゃくねえ」

「みんな同じだっつーの」

「なんで俺理系に来ちゃったんだろ…まじ…うわぁ…物理うわあ…」


家についてそんなすぐに勉強を始めるわけがなく。
部屋に入った途端そんな事をボロボロこぼし始める俺たち


三人いっせいにフローリングにたおれこんだ


それにしてもあっついな…。

TシャツになろうとYシャツを脱ぐと、松本がクーラーを入れてくれた



「俺赤点回避できればいいや」

「俺も」

「あぁ…」


俺の一言にみんな賛成の意を示す
でもあれなんだよな…なんだかんだ言って緑川勉強できんだよな…。
うらやま


「つか松本兄貴いつごろ来んの?」

「あー、5時頃?」


5時か…今4時半位だからあと30分…。



「松本兄貴ってどんな人?」


ぶっちゃけ松本兄貴がどんな人なのか俺にはさっぱりわからない。会ったこともないし。

……優しい人だといいけど。
やっぱ熱血?やだなそれは。


「いけすかねえやつ。」

「ふっつーにイケメンの上、頭めっちゃ良い。あと優しいよ」


松本に続いて緑川。
なんだよいけすかないって。


「えってか、イケメンなの?」

「おう。松本に似てねえよ」


へえー。それは意外だ。
まあ松本が悪い顔ってわけでもないんだけど。


「いや、でも湊さんの方がぜってえイケメン」

「…、」

突如出てきた湊さんの名前に思わず反応する


…………いや、まあ、湊さんは特別だしな…。


「湊さんってなんで彼女いねえの?」

「…そんなの俺が聞きてえよ」


何故か湊さんの話の流れになってしまって内心うんざりする
なんだよここでも湊さんの事考えなきゃかよ


「高校で一途だとしても大学では遊びまくったのかもなー。だから女に飽きたとか」

「まあなぁ、湊さんほどのイケメン滅多にいねえよな…。やっぱ加賀もドキッてしたりすんの?」

「あー……まぁ…」


最近はしょっちゅうだったけどな。



「てか松本兄貴の名前何?」


これ以上湊さんの話をしたくなくて話題を変える
湊さんの彼女の事なんて、考えたくもない



「成幸」

「しげゆき?さん?」


しげゆきさんか。



「松本兄貴は彼女いんの?」

「あー?しんねぇ。いんじゃね?」


適当だな。

でもイケメンで大学生なら普通一人や二人いんじゃないのか?
あ、二人はないな。


「成幸さんってどこ大学?」

「…医大。」


まじかよ。

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