色々あって二人でャワーを浴びる状況に陥ったが、

やっぱり狭いんだよなあ・・・。



けれど文句を言うとまた不機嫌になりそうなので我慢してると、なぜか俺の腰を冬馬が触ってきた

ひたりとお湯に紛れて俺の腰を撫でる指先


「!?」


びっくりして思わず仰け反る
え、なんで腰!?

そんな俺に『いちいちリアクションでかい』とでもいいたげに面倒くさそうな顔をしてきた冬馬。いや、なんでそんな顔されなきゃいけないんですか。



「動くなよ」

「な、なんで腰さわんだよ…!!?」


え、意味わかんない、マジで意味わかんない…!

冬馬の手をはがそうと自分の手を重ねたら、冬馬の手が俺の身体のラインを撫でるように上へとスライドした

位置的には、胸の、すぐ横



「・・・ッ」



くすぐったい感触に目を咄嗟に閉じて我慢する
なんなんだよ、本当に…!



「それともなに?これずっと付けてたいの?」

「は・・・?」


そういわれて冬馬の視線の方向を見ると、胸の所のバンソーコー。
それを改めて指摘されて、恥ずかしさでいっぱいになった


っっっ!!!



「んなわけないじゃん!でもさっきは痛かったから・・・!」

「はいはい、じゃあ一旦剥がしますねー」


医者のように棒読みで返事する冬馬

つかなんで、お前が剥がすんだよ・・・!
けれど、今下手に動いたら脇の下にある手に余計反応してしまいそうなので、大人しくはがされるのを待つ

左手は、胸を固定し右手で絆創膏を剥がす
爪が微かに肌を掠る感触がどうしても耐えられなくて、俺は唇をかみしめて反対方向へと首を向ける


なんつー、罰ゲームなの。
幼馴染に乳首に貼った絆創膏を剥がされるって。

そもそも、島崎君が…
いや、島崎君は悪くない…



「・・・っねえ、まだなの?」


剥がすのなんて一瞬なのに、数十秒かかっている模様
それを不審に思い尋ねた


「シャワーのおかげで指が滑る」

「嘘付け!!!」


ぜってえわざと指カリカリさせてるでしょ!!!
すごい恥ずかしいし、冬馬の方を睨んだらニヤッとした顔と目があったから確信犯。絶対俺の表情見て楽しんでた。


やり場のない怒りにとりあえず壁に頭をぶつける

そんな俺を見かねて「わーったって」と言ってすんなりと左と右の絆創膏を剥がしてくれた


最初から、そうしてればいいんだよ…

でも、なんか、今まで隠されてた部分が現れると…なんか恥ずかしい。いや、ついて方が恥ずかしいのかな…。でも今乳首赤くはれてるし…。いや、気にするのやめよ?恥ずかしがったら冬馬の思う壺な気がするし。


ため息を小さくついて、おでこに張り付いた前髪を後ろに流しながら、手で顔をぬぐう


そんな動作をしていたらしみじみと、

「一応、芸能人なんだな」

とおかしそうに冬馬が呟いた


…お前は、写真家の癖にその顔と体なんだな。



「でもオールバックは似合ってない。」

「・・・うるさい。」


前髪を前に戻され、横に流された
…別にいいじゃん、どっちでも…邪魔なだけなんだから


そう思っていたら、冬馬がボディソープを手に取る音が聞こえてきた


・・・え



「まじで、お前が俺の身体洗うの?」

「何か問題が?」

「…いえ。」


冬馬がニッコリと笑ったから大人しく首を振っといた
問題はいっぱいあるよ。でも言わせる気ないでしょ、君。


え、つか、今気づいたんだけど、

掌にそのままボディーソープつけたこいつ?



「冬馬、バスリリーならそこにあるけど…」

「素手でいいだろ」

「なんで!?」


いや、別に盛大なリアクションかましたいとかそういうわけじゃなくて。
素手だと、なんか、なんかねえ…?



「バスリリー使った方が、泡立つじゃん?あと、ゴシゴシ洗ってもらえるし、」

「心配すんなよ、素手でゴシゴシ洗ってやるから」


手でボディーソープを掻き混ぜている冬馬に心配しかできない
しかも嫌な表情だ…。


「座ってもらった方が楽だから、座れよ。」

「え…いや…」

「俺の事は気にすんな」


そういわれ、半ば無理矢理風呂椅子に座らされる
背後に冬馬を感じるが恐怖しかない。


「あ。」

「・・・なに」

「俺の前髪どっちかに流して?」


…そんなんボディーソープつける前にしとけよ


うんざりしながら後ろを振り向いて前髪を後ろに流してやる。オールバックにしたのはさっきの文句の仕返し。・・・だったんだけど、

はー、似合ってて腹立つわ。
笑えない。本当に、俳優さんみたい。
俺の立場ないからそのおでこにデコピンかましたい。


「なに、そんなに見て。似合ってるって?」

「…言ってないよ」

「ありがと。」


そういって、俺の両手がまだ冬馬の頭にあるのをいいことに、冬馬が俺の唇にキスしてきた

ほんの一瞬の出来事。

チュッとリップ音がした後目の前に広がるのはやっぱり目を細めて楽しそうにしてる冬馬の顔で。


〜〜〜っっっ!!!
あーもう!!!



「キス禁止!!!!」

「へいへい。」


キス魔なのかこいつは!!





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