「いやいやいや」


下も脱ぐとか勘弁してくれ、と思いながら首を必死に横に振る

確かに修学旅行の時一緒に風呂入ったりしたけど、それは二人きりじゃなかったし、しかも洗いっこなんてホモ展開しなかったし


冬馬がなにしたいのかマジでわかんねえ…!!


そうこうしてるうちに冬馬が俺のベルトに手をかけてきた


ひ、ひぇぇええぇえっ!!



「嫌だ!一人にさせろよ馬鹿!!」

「はー?それじゃ俺が楽しくないだろ」


いやお前が楽しいかとか知らんわ!

必死にベルトを死守してると舌打ちして上を脱ぎ始めた冬馬


ちょちょちょ


嫌でも冬馬の裸が目に入ってきていち腐男子、かつ俳優やってる俺は無意識のうちに裸を凝視

うわ冬馬いっちょ前に腹筋ついてる!!胸筋もある!良い体しすぎでしょってそういうんじゃなくて!!!いや実際羨ましい体してるけど!


「なんだよ、嫌だ嫌だいいながら俺の体ガン見じゃん変態。」


ニヤニヤと俺が腹立つあの顔をしながら首を軽く傾げる冬馬

なんだよその無駄な色気
お前絶対モデル業向いてるよ、俺よりずっと。


「き…鍛えてるの?」

「んー?あっちいるときちょっとジム通ってた」


なんでだよお前俺と違って鍛える必要ないじゃん
しかもちょっと嬉しそうなのが腹立つ


「快よりいい体でいたいからね」


…負けず嫌いだからか
そうだよなー、お前俺よりもなんでも上だもんな

立場も


「ほら、それよりも下も脱がなきゃだよ快君」


気持ち悪くねえの?と言われて、確かにお湯吸い込んで重たいしグチュグチュしてるけど、お前に俺の息子を見せたいとは一ミリたりとも思わない


でもこいつの性格上、絶対我を突き通すやつだからきっと俺がどんなに拒否したところでそれを認めないだろう



ああ、ああもう



「せめて、せめてタオル巻きたいっ」


せめてもの抵抗でお願いする
そんな必死な俺を見てなんだかつまらなそうな顔する冬馬

だからなんでだよ


「はぁ…しゃあねえな」


しぶしぶ、本当にしぶしぶと冬馬がうなづいた

くっそ腹立つなこいつ
けれどこんな事口にだしてでもみたら俺の命が終わる


浴室からいったんでてタオルを取りにいく冬馬
はー、もう、ズボンびしょびしょだ あいつのもだけど

ついでに、水をたっぷりすいこんだ服を拾い上げて洗濯機に投げておく

馬鹿冬馬のせいで俺の服台なしじゃねえか


「ほら」

「…どうも。」


タオルを渡されて、それを受け取る
あれ、つか冬馬お前いつの間に腰にタオル巻いたの?いつズボン脱いだの?


俺が見ていない間に一人で着替え終わってた冬馬

え、俺こいつの前で着替えるとかすげえ嫌なんだけど


「あっち向いてて」

「注文多すぎ。」


といいつつ、これ以上拒否するの面倒くさくなったのか大人しく背を向けてきた


その間に急いでズボンを脱ぎタオルを巻く
脱ぎづらいことこの上ないし、そろそろ寒いし


「これ洗濯機入れて」

「はーい。」


…素直すぎてうざい





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