「…っ…」

「唇、力入れすぎですよ…」


柔らかくてしっとりしたモノがあたり、直後に離れる
そして、「口開けて?」と優しく囁かれた


う、うぁっ……


「ちょ、なんか、緊張する…」

「篠原さんでも緊張するんですね」


そりゃあするさ
心臓バクバク言いすぎて何もしてないのに呼吸が浅くなっている俺

うまく息が出来なくて、まるで少し興奮してる人みたいだ。
そんくらい呼吸が乱れてる


とりあえず言われた通り唇をうっすら開いた瞬間、再び唇が重なった


首の後ろに優しく回される島崎くんの手



「…ン、ぅ…」


唇をパクリと食べられる

初めてではないけれど、相手から攻められるのは馴れていない
しばらくキスをしていると舌も絡んできた


うわ、うわわ、



「先輩、舌引っ込めないで出して」

「うー…」


わかってる、わかってるけど、
逃げ腰になっちゃうんだよ!なんか!

言われた通り、そろ…と舌を出すと絡めとられた
ヌルリとした感触に全身が震える


「ふっ…ぅ…ンん、」


チュ、クチュ、と厭らしいリップ音が響く中、聴覚を支配するのは自分の心音と甘ったるい吐息
おまけに島崎くんがわざと息を吸うタイミングをズラしてくるので、変に上ずった声が出ちゃうから恥ずかしい



「はぁっ、はッ…ん、…ン…」


…やば…気持ちい…


荒い息の中、舌を甘く吸われたり噛まれたりして腰がジン、と疼く
その刺激に目の前のシャツをギュッと握りながらキスを受ける


おまけに気付いたらソファに押し倒されている状態の俺



「……先輩、舌絡めるの好きなんですね」

「……へ…?」


唇がほぼついてる状態で島崎くんが囁く
最後にカプ、と下唇を噛まれて唇が離れた時、完全に息が上がっていた


その時飲み切れなかった生暖かい唾液がコプ、と首筋を伝う



「……っ…」

「あ、ごめんなさい」



垂れた唾液を拭おうとしたら、島崎くんが顔を首筋に近づけてきた

少し上がってる島崎くんの息遣いと、さらさらした髪の感触にビクリ、と跳ねる


え、…?


「いや、あの、ちょ………」

「はい?」


えっ…

予想はうっすら出来ていたが、止めに入ろうとする前に首筋に伝った舌


「…っ、んぁッ…!」


熱い舌がなぞるように肌を滑っていき、全身がゾクゾク震え思わず変な声が漏れてしまった


は、恥ずかしっ……!



「あ、ご、ごめ、変な声止められなくて…」


口許を手の甲で抑え、島崎くんの顔を見上げながら言う
島崎くんの少し濡れている唇が色っぽく、おまけに長い前髪の間から見えた瞳が熱っぽかった



「どうして?かわいかったですけど」

「…え、」

「というか先輩首弱いですね。」

「っ!」


ツツツー…、と指で首をなぞられ声が出そうになるのを何とか我慢する



またこんな気持ち悪い声でたら島崎くんの耳が腐っちゃうよ…!
たぶん、俺今真っ赤だ、と思いながらうつ向く



そんな俺に、


「もっと聞きたくなっちゃいました」


俺の手を外しながら笑う島崎くん



いつもの笑顔の筈なのに、どこか艶っぽいその雰囲気に思考が止まった




え?
今なんて?


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