どうすればいいんだ




「う、あ、ぇと……」

「あはは、そんな固まらなくても」


俺のあっつくなった頬を島崎くんの指が優しくなぞる



「キスの練習だけなんで、構えなくていいですよ」


んなこと言われたって!構えるわ!
恥ずかしい!だって島崎くんの顔が近いしなんか格好いいし!


「あの…」

「はい?」


緊張を逃そうと自らのシャツをギュッと握って軽く目を伏せる

あーくそ恥ずかしいなもうどうしよう



「あの、べ、ベロって、入れたりするの?」

「………。」


別にベロが入るからどうこうするわけではないが、やっぱり、心の準備というかね、なんというか。

噛まないようにしなきゃだし…!準備は大切!





「・・・。」





数秒の沈黙。




の後、





「………勘弁してくれ…」

「え」


小声で聞こえてきた言葉にギクリとした。
勘弁してくれ、って、俺不味いこと言っちゃったのかなやべえ


「ご、ごめん、俺気を悪くするような事いっちゃった?」

「全然。」

そ、そうか…。


「先輩は舌入れられたくない?」

「…え」


突然グイと近づけられた顔にドキッとする
わ、あ、あ、近い!!


「俺は先輩に入れたいんだけど…駄目ですか?」

「いや、駄目じゃないけど…!」


すでに唇がつきそうな距離に到達する
え、つかこれ練習なんでしょ?演技の練習とかしなくていいの?


チラリと視線をあげると島崎くんとバッチリ目が合う
うわああやっぱ恥ずかしい

こういうときどこ見ればいいのかわからないマジで。


「いれて、いい、です。はい、どうぞ。」



練習だしね、
もしかしたら本番もそういう激しめのキスなのかもしれないし!


決意を決めてギュッと目を瞑る

近くで軽く島崎くんが笑う気配



そして、


「じゃあ、遠慮なく」


「っ!」


そんな声とともに、唇になにか柔らかいものが当たった



なにかなんて、この状況からわからない奴なんていない



島崎くんと、

キスしてしまった。



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