「部屋狭いかもですけどどうぞー」


そう言われて案内される室内
全然狭くないですけどね。


「忙しいのになんかすみません」

「いや、俺も偶然休みだったし大丈夫だよ」


申し訳なさそうにする島崎くんに気にしないで、と伝える
島崎くんの頼みだったらなんでも聞いてあげるのに…可愛いなぁ


でも今回のはちょっと内容が内容だけどね



促されたソファにちょこんと座って部屋を見渡す
んー、シャレてるなぁ。色とか家具とか統一されてるし


「島崎くんは家具もこだわるタイプ?」

「あー、まあそうですかね。ソファとか結構」


確かにフカフカしてる
…高そう

ソファをポンポンと叩く俺に島崎くんが笑う


「篠原先輩はこだわるタイプなんですか?」

「んーん。全くこだわらないなぁ。その家具の役目果たしてれば」


家具にお金出してるくらいならホモ本買ってます。
てかもともと家具とか気にならないし


「あ、でも居候は大分うるさいかな」

「…………はっ?」


あ、居候って言うのだろうか。まあいいか。
てかなに今の島崎くんのすっとんきょうな声


「居候…なんていたんですか?」

「いや、ほんの数日前に帰国してきて俺のところに居座ってるの。幼馴染みなんだ」


「ごめん、島崎くんに関係ないね、」と笑うとどこか雰囲気が変わった島崎くん

…ん?


「女ですか?」

「いや、男だよ。女性だといろいろ誤解されて面倒くさそうだし」

「へぇ…」


てかこの流れ有美ちゃんにもしたなぁ
あと女性を今の家に入れたことなんて俺ないしね。
妹と母親くらいじゃないか


なんだか無言になってしまった島崎くん
横を見て島崎くんを見上げると目がパチリとあった

う、わ。


目があってしまっただけだけれどこの後の事を意識すると妙にドキとなってしまう

慌てて目を反らすと横で笑う気配
…今のあからさますぎた?



「てかさ、島崎くん」

「はい?」

「俺で良かったの?」


少し緊張する声で改めて質問する
だって、キスシーンなのに男ととか。しかも俺。
いや腐男子としてはキタコレってなるけど俺相手だし。申し訳ねえ。


「あ、キスの練習相手って事ですか?いやいや、先輩だからこそお願いしてるんですよ」

「でも、俺よりもっといい人いたんじゃない?」

高田さんとか
ねえ?


「前にも言いましたけど、女相手にそんな事頼めないですし、俺だって男となんて嫌ですよ」

「じゃあ…」

「だから、篠原先輩だけは別です。他の男とかまじ勘弁」

わかりました?と顔を近付けられて思わずうなずく

気に入られてるってことなのかな…?



「最近他人とキスとかしてないですし、共演者に下手って思われるの嫌じゃないですかー。」

笑う島崎くん
…まあ、確かに…俺もそう思う気持ちはあるよ



「俺としては島崎くんに彼女いないことが驚きだよ…」

こんな格好いいのにね
俺としては可愛いの方に入るけど


髪の色変わってからその印象も変わってきてるけどさ


「俺もそのまま篠原先輩に返しますよ。すっごい人気なのに!」

「いやいやいや」


島崎くんの誉め言葉に苦笑する
は、恥ずかしいな


「というか俺も質問あるんですけど…」

「ん?」

「篠原先輩は俺にキスされてもいいんですか?」


真剣な眼差しで見つめられる
思わずドキリとなる心臓


そ、そんなの反則でしょ



「大丈夫じゃなかったらOKはしない、け、ど…」


目を合わせられないため、俯きながらそう言う

男としてだっさいかもしれないが、この場の雰囲気知ればわかってくれるだろう。すごい緊張するし恥ずかしい


意識しすぎて、島崎くんの呼吸にも反応しちゃうくらい。


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