手遅れ
その日の夜に島崎くんから『土曜日の夜どうですか』とメールが来た
すごいことに、偶然にも有美ちゃんがその日休みだと教えてくれていたからすぐに返信ができ土曜日に島崎くんの家に行くことに。
今さらだけれど、キスシーンの練習ってどうすればいいんだと悩む
島崎くん俺をチョイスしたの間違ってると思うよ…
あれか、俺ってもしかして経験豊富って思われてる?中学時代も高校時代も冬馬に鼻で笑われていた俺だぞ。女の子みんな冬馬に行ってたからな。俺も逃げてたし。
うわあ…島崎くんにキスも下手なだっさい先輩って思われたらどうしよ…
ヘコむわぁでも俺ほんと…慣れてないし…
悔しくて誰とは言いたくもないけれど、初めての深いキスとかも相手の舌思いっきり噛んでしまったし
いや、でも突然やられたからっていう言い訳もある。
今回ってどうなんだろう…どこまで?
てかすっごい緊張するんだけど、あああ…!
でもドラマだしね、そこまで、アレなことにはならないと思う
映画だったらわからないけど
大丈夫だ俺
腐男子の知識をここで使うんだ大丈夫大丈夫
でも、こんなんなら恥を忍んで冬馬にでも相談すればよかった、と少し後悔
…………が、それもすでに遅い。
目の前にはセキュリティシステムがしっかりした入り口を通りすぎてたどり着いたドアが。
言われた通りの道順を来てマンション見たら度肝抜いたね
金持ちマンションだったからね。
初めて訪れる部屋
そして、
「こんばんわ篠原先輩」
「こ、んばんわ」
笑顔で俺を出迎えた島崎くん。
ああ…
失態を冒さないようにしよう…
ひきつる笑顔で静かにそう思った
[ 51/86 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]