「ひどい」

「知るか」

「ひどいよ快くん」


いろいろ言われまくって苛立ちが押さえられない俺は冬馬のご飯をカップラーメンにしてやった


作ってやっただけでも感謝しろっつーの
お湯いれただけだけど。


「そんな恥ずかしかったの? 耳真っ赤だったもんね」

「黙れ」


耳の後ろを指でなぞられ耳が赤いことを告げられる
…なんでだろうか、有利な立場に立ってる気がしない

そんな冬馬の手を叩き落とすと唇を尖らしてきた。
かわいくねーぞそれ。


テレビを見てる俺の隣でズルズル麺を啜る冬馬
少なくとも家主は俺なのだから主導権は俺にあると言いたい


対して俺は番組のチェック中
先輩とかの演技を見て勉強するのだ


「あの快も芸能人だもんなぁ。腐ってても俳優か」

「うっさい」

「恋人できたの?」

「んな訳ないだろ」


わかってて聞いてるなこいつ
ニヤニヤ悪い顔してるし


「おまえはどうせいっぱいいたんだろ。」

昔から女の耐えない冬馬のことだ
まあ顔が良いから当たり前なんだけど。外面いいし。


「やだなー、嫉妬?」

「馬鹿かお前」

「本命は快だから安心して」

「きもい」


いつもこんな冗談を言ってくる冬馬
アホらし。
腐男子なめんな


「つれねーの」

「お前の戯れ言に付き合ってられっかっつーの」


何年も一緒にいたらさすがにね。
いい加減にしろって思うけどね


は、もしかして奴はこうして女子をゲットしてるのだろうか。
うわあ、まじか、いや絶対そうだよな

そういや有美ちゃん会いたいつってたし、危ない。これは危ないぞ。


「話変わるけど俺のマネージャーがお前に会いたいつってた」

「いや、なんでそんな殺気にじみ出してんの」


お前が有美ちゃんを狙いそうだからだよ

突然の話の展開に何とも言えない顔してる冬馬



「なんで俺に会いてえんだよ」

「俺と一緒に住むから」

「へー」


お前のせいで面倒くさい…。
つか娯楽の時間がどんどん無くなってくじゃん。最悪。
BLゲーとかどこでやればいいの。



「そいつ、俺が男だって知ってんの?」

「うん。」

「マネージャーの性別は?」


…なんでこんな質問してくるんだ?


「………女」

「ふーん、別にいいけど」


女と聞いたとたんどこか飄々とする冬馬
なんだよその余裕

つかもし男だったらお断りなのかよ



「マネージャーのこと釣りでもしたらお前去勢すっかんな」

「え、なにそれ怖。そんなに気に入ってる奴なのかよ」


嫉妬すんなら俺にしろよ、と意味のわからないこと抜かしてくる冬馬
まじで去勢してやろうかな


「俺の母親みたいな人だから嫌なんだよ」

めっちゃ怖いけど

「…へえ。」


姉ちゃん?ううん…姉ちゃんって感じもするかな。
俺長男だったし、どんなもんかわかんないけど。
兄弟は妹だけ


「いつ会いにくんの?」

「お前次第だってさ」

「んじゃいつでもいいって言っといて」

「了解。」


んじゃ仕事帰りにでも寄ってもらうか

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