意地悪野郎




有美ちゃんと別れ自宅に帰宅した。


「ただいまー」


真っ暗な玄関の電気をつけながら挨拶する
まあ普段なら言わないんだけどね、冬馬いるから言ってるだけ。



外から見た部屋は電気ついてたからもう起きてるんだろうけど…。



あいつ飯どうしたんだろ
そして俺の宝物たちは無事だろうか


「とーまー?」


名前をよんでも返事は来ない

無視かあんにゃろ



いやがらせに「とーまとーま」と何回も名前をよんでやる

リビングに入るとソファに腰かけてる冬馬がそこにいた。


なんだよ返事くらいしろっつーの



「おかえりー、快」

「………おう」


つかなんだそのニヤニヤ顔むかつくな。



「何笑ってんだよ」

「いや、快が俺の名前何度も呼んできたから笑えちゃって」


…意味わかんない…

呆れながら荷物を下ろす

ふと冬馬の格好を見てみるとスウェット姿だった


「おまえ家にずっといたの?」

「外にいく気力なんてあるわけねーだろ」


……いやそんなの知らないけど…。

冬馬は髪もボサボサしてるし、もうほとんど我が家状態だ
まだ1日目なのになんだこの馴染んでる感



「昼ご飯とかはどうしたの?」

「俺起きたの4時」

「え」


4時って。
時差ボケってそんななんの?



「飯は朝飯分の食ったし。あと冷蔵庫ん中の奴」


………洗いもの増えてそうだなぁ


「それでね、快ちゃん」

「……なんだ」


こいつがちゃん付けのときはあまりいいことがない。
そしてこの満面の笑み


「俺今お腹すいてるんだよね」


…ほらね?



「…いや、しらないから。」

「えー、ひでえ。なんか頂戴」

「自分で作れよ」

「めんどい」


めんどいって…。
時間はたっぷりあっただろうよ



「お前起きてから何してたの?」

「お前の漫画読んでた」

「……ふーん…………ん!?」

なんつった今?


「快ってこんな奴好きなの?かわってんな」


そういって見せられたのはバリバリ18禁の親父受けのアレ



ギャアアアアアアアア



「ちょっ、おま、うわあああああああ」

「すっごいね、これドギツイ。人気俳優がこんなの読んでいいの?」

「うるせえええなあああ個人の自由だろ!!!」


こんなに慌てたのいつぶりだろうと思うほど慌てて漫画を奪い取る
疲れもぶっとんじゃうほどブワァアアッと逆毛だった

やっぱ無事じゃなかったよぉおうわああ


「はは、真っ赤ー」

「クソ馬鹿クズボケ」


ペシペシと頬を叩かれたので、数倍返しにして手を弾く
しかし大して痛くないのか軽く笑って返されるだけだった


やっぱ冬馬クズだ。クズ。
俺の宝物に手を出すとはいい度胸じゃないか


キッと睨みあげると冬馬は嬉しそうにニヤ、と笑う


「こわーい快ちゃん」


………お前がさせたんだろうよ


他にも被害者はいないかとソファ回りとテーブルを確認する
しかし、テーブルの上には絶対見つかりたくないと思ってた輩があった


何度見たであろう顔が表紙を飾ってるその雑誌



「あ、快が載ってる雑誌も見たよ」


チクショオオオオオ



絶望で床に沈む

恥ずかしい恥ずかしい
何故だ、これは棚の中に隠していたはずだぞ

漫画は量的に無理だったけど。


「それをどこで見つけたの」

「棚」


漁ったのかよこのクズ野郎…!


「これなんて上半身裸じゃーん。セクシー」

「うわぁああああ」

「『君の心を俺色に染めたい』ってなにこの言葉」

「やめてえええええええあああ」


俺の恥ずかしがってる様子が面白くて仕方ないのかどんどん言ってくる冬馬

超恥ずかしい
幼馴染みに改めて言われるとやばい

つかこいつの笑顔がほんと楽しそうでムカつく


「まじもう勘弁」

「えー、なに耳押さえてるの快くーん」

「やめてくださいほんともういいですから」


耳を覆う手を無理矢理剥がし目の前に雑誌をもってくる冬馬
相変わらず力が強くて逆らえない


「俺はこれがベストショットだと思うけど」



そして見せられたのは俺がほぼ全裸でベッドに寝転がるセクシーショットの写真




「ヤラシぃー」



そう言って笑った冬馬に今度こそ撃沈した


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