キ………


キスの練習台………



ですと?



「お、俺?」



何かの聞き間違いではないかと思って冷静に訊ねる

キスって、唇と唇くっつける行為なんだけど?
まじでいってんのかな?


「………はい。」



駄目ですか?という犬のような雰囲気をだした島崎くんを見て俺の思考はフリーズした


まじでかあああああ!!!!




「やっぱドラマってなると現実とちょっと違うと思いますし、だからといって女性に頼むことも出来ないし…」


まあ、報道とか嫌だもんね


「それで仲のいい男性って篠原さんしか思い付かなくて………でもやっぱ、きもちわるいですよね、さすがに…」


しゅーん、と見えない耳を垂れさせた島崎くん


その表情にキュキュキュキューンと心臓が締め付けられる

か、かわっ…!


「き、気持ち悪くはないよ!全然!」


慌てて必死のフォローをいれた。
だって島崎くんくっそかわいいんだもん!


「そうですか?」

「うん、別に男同士のキスなんて全然普通」


普通ではないんではないか、と思うけれどもう言ってしまったから仕方ない。俺自体も酔ったノリで男とキスしたことくらいはあった。黒歴史だ。



「だから、その…俺としては構わないんだけど…本当に俺でいいの?」



高田さんとかの方がいいんじゃないの?
ていうか、これバレたら俺半殺しにされるよね。

やばくないか?


「はい!篠原さんがいいです!」


めっちゃ笑顔で元気な返事された


あ、もうこりゃ逃げられないわ
つか俺先輩だしなぁ……後輩のお願いも聞いてあげなきゃいけないし…。

ううぅ…でも俺的にそういうBLな…流れは…望んでなかったなぁ…

でも…、



「んー…いいよ。俺先輩だしね」

「ほんとですか?」


ズイッと顔を近づけてきた島崎くん
ち、近い…!


「……う、ん。」

「嬉しいです!ありがとうございます」


その言葉とともにギュウゥ、と島崎くんにハグされた

ううう、こんくらいのスキンシップはなれた。あれだよ、キスの練習なんてこのスキンシップの延長戦になるって思えば余裕。

どうせドラマのキスなんて軽いだろうし。
長くても舌入れたりはしないだろうし。


苦笑しながら島崎くんの頭をポンポン撫でる





高田さんにバレないようにしなきゃだなぁ………。








(この時有美ちゃんが扉にびったり張り付いて聞き耳立てていたことに俺は気づくこともなかった。)



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