黒髪青年
あのあといつも通りになった有美ちゃん
なんだかあの時は目の色がいつもと違って少し怖かった
『あんたの幼馴染み見れる日を楽しみにしてるわ』、って言ったときの目の色も凄かったね。ギラって。有美ちゃんがよくわかんないって思った瞬間。
今日の一個目の仕事だったドラマ撮影は順調に進み、時間通りより少し早めに終わった
といっても神経を使うというか、結構体力の消費が激しい
まだあと二つの仕事残ってるのに辛いなあ、と思いながら楽屋でボーとしていたらコンコンとドアが鳴った
誰だろ、と思いながら「はい」と返事する
「篠原さんこんにちは!」
そして直後にでてきたのは我がアイドルの島崎くんだった
今日もなつっこい笑顔が超可愛い
「こんにちは、島崎く…………」
癒されるなぁと思って自分も顔を緩めようとしたが、ふと島崎くんの異変に気づき笑顔が固まる
そしてすぐに髪の毛へと視線が行った
「し、島崎くん、どうしたのその髪!」
なんと島崎くんの髪がいつもの綺麗な銀髪ではなく、
落ち着いた髪の色である黒髪になっていた
ど、どどどどうしちゃったの!!
「あは、ドラマの関係で髪の毛染めることになりまして…どうですか?」
「い、いや、めちゃめちゃカッコいいけど…!」
髪を黒くしたことによって落ち着いた印象になり、数倍大人っぽくなってる島崎くん。
チャラそうな感じが一気になくなった。髪も少しだけ短くなってるし、超かっこよくなってる…!
「篠原さんにそう言われるだけで俺すげえモチベーションアップっす。あ、今先輩忙しいですか?」
「きゅ、う憩中だよ。あと三十分くらいで移動だけど」
「そうなんですか!ご一緒しても良いですか?」
その言葉に「もちろん」って言えばニコニコしながら俺のとなりの椅子に座った島崎くん。やっぱ大人っぽくなっても笑顔は可愛らしい。くそ、萌える。
「しかも島崎くん今日一段とカッコいい格好してるね」
「これもドラマ関係〜」
今日の格好はなんとスーツ
上から下まで上質なスーツを着ていて靴まて高そう
黒のスーツにうっすら線が入ってるのがまた洒落てる。しかも足の長い島崎くんにピッタリのシュッとした感じ。似合いすぎ。
…なんか別人みたいだ…。
「やっぱ黒髪って地味に見えませんかねぇ」
「いや、島崎くん。逆にナチュラル感たっぷりで超似合ってるって」
銀色の髪だったから茶目っ気があって可愛らしかったけど、黒髪は、うん、普通に大人の色気が出ててやばい。感嘆の息が漏れてしまうくらいだ。
「下手したら俺より年上に見えるよ…」
「それはあり得ないでしょう」
苦笑してくれてる島崎くんだけど、その控えめな笑顔もなんか…なんか…。
髪で変わるもんなんだなぁ。
「どんなドラマの撮影やってるの?」
俺のかわいいかわいい島崎くんをこんな色男にさせやがって…!
「あ〜、なんか人気漫画らしいんですけど、それのドラマらしくて…」
「少女漫画?」
「そうっすね。どこぞの社長令嬢と平社員の恋ばなしです。」
お、おぉ…ありきたりな身分差…。
「島崎くんがサラリーマンかぁ」
若手な感じのリーマン役とかピッタシじゃん
きっとワタワタして可愛いんだろうなぁ…。
でも上司厳しくて落ち込んだりしてるところを他の先輩とかが慰めたりして、それを見て上司が嫉妬して…あ、もちろん高田さんね上司は。メシウマ
「?篠原さん?」
「ん、あっ、ごめんね。島崎くん似合うんだろうなぁって思ったら想像が。」
というか妄想だけどね。
あぁ、なんか島崎くんがキョトンとした顔してる超可愛い…!想像って何の?みたいなこの表情!こんな顔高田さんみたらただじゃすまないんじゃないんじゃないかな!
つか社長令嬢誰なんだ!島崎くんは高田さんのものだぞ許さん!
[ 44/86 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]