人工的な温かさ







とりあえず俺はベッドの所有権をとった
まあ家の主人だからあたりまえだ。


それにしても、あんまり人を泊めることがないので余分な枕とか布団とかない
ので、タオルを丸めて枕にさせたら不満たらたらだった。文句言うんじゃねえよ。


あと毛布で我慢してもらった。
秋だし、そこまで寒くない…と思う。





朝六時


今日はドラマの撮影があるので、目覚ましを設定しておいた


俺の好きな曲で目を覚ます。もちろん曲はBLゲーのOPだ。英語で超カッコいい



「んん〜…」



そこまで寝起きは悪くない方だが、やはり初めは眠い
携帯の目覚まし設定を一時止めてからゆっくり目を開いた



熱い……



いつもより熱く感じる布団の中
今日は暖かい日なのかな、と思いながら壁を見る
まだ起き上がることが出来ないのでうつ伏せのまま


…やばい、眠い………



再び目を閉じそうになったときスムーズ設定になっていた携帯が鳴った


……起きなきゃ……



今度こそ起きあがる





そのとき、初めて違和感に気付いた




背中に感じる体温
狭く感じるベッドの広さ



「…………下手っくそ………」



そして、俺以外の他人の声に思わずビシリ、と固まる




「っ、!」



その声に後ろを見ると、広い背中
しかもいつの間にか俺の枕を奪ってやがる

……は?


驚きというか呆れというかでなにも言えずにいると、冬馬がこちらを振り向きながら

「こいつら語学留学した方がいいぜ」

と言った



さっきの下手くそって、アラーム音の曲の英語の事か
てか日本人だってことなんでわかったんだ。



てか、んなことより!



「………いつの間に入ったの…」

「深夜?」


しれっと答える冬馬

こいつ…ほんと油断も隙もねえな…
寝起きだから怒鳴る気力もない


「昨日はお前ソファの日つったじゃん」

「今日は俺がベッドの日なんだろ。」



減らず口を…!
顔をしかめる俺に冬馬は眠そうに口許を緩める



「今何時?」

「朝の六時。俺仕事あるから」

「げぇ…俺今日ずっと家にいるから」


まじで眠い 、そう言った冬馬は本当にダルそうで。

フライトとか時差とかで疲れてるんだろうな。だからと言って優しくはしないが。むしろベッドから追い出したい。



しかも、こいつを家に置いとくのって安心できないな。
勝手に部屋を荒らしそうで怖い


「・・・」


無言で冬馬を見つめる
そんな俺に冬馬は眉をあげた



「……なに?おはようのチューでも欲しいわけ」

「…布団剥ぐぞ」


笑えない冗談を言った冬馬の布団を掴むと「それは勘弁」と言われた。



「俺まだ寝てるから。」


そう言って布団に潜る冬馬

盛り上がってる布団を見てため息をつく

…帰ってきてから説教しよう、いろいろ。




フー…と二度目についたため息
外はほんのり薄暗い



冬馬朝御飯食べるのかなぁ…

この様子だと食べなさそうだけど。



用意しなくてもいいか。
バツとして無しにしよう。




体を動かしたからベッドがギシリとなる
裸足でついた床は少し冷たい


時間はすでに15分経過





………冬馬のせいで大分時間無駄にした。

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