俺が大人しくテレビ見てろと言ったからか、本当に静かにテレビを見ている冬馬。超驚き。


ところが冬馬がテレビを見始めて数分後、冬馬が「おい。」と声をかけてきた。


ん?



「なにー?」


ポテポテと肉の形を整えさせながら聞き返す
酒おかわりとかかな、それだったら絶対あげない。おつまみもあげないんだから。


質問の予想をしつつ心のなかで断固拒否する


けれど、



「これってお前だよな。」


その言葉に体が一瞬固まった。



「………え、どの番組?」


改めて自分がテレビに出てるとなるとなんか恥ずかしい。
しかも幼馴染み相手に指摘されると、なんか。ねえ?


一応、テレビの中の俺って格好つけてるし



「料理番組」

「あ。」



そういや、そうだった。



「やっばい、すっかり忘れてた!」


一応確認したりどこが駄目だったかを反省するために自分の出た番組はチェックするのが日課だった。
冬馬のことで頭一杯で録画すらしてない


慌ててテレビに駆け寄る。
が、肉でベタベタして触れない。
失敗した…!


「こいつ、誰だっけ。」

「え?」


テレビの前でソワソワする俺を余所に冬馬がビールで指し示す

こいつって……高田さんのことかな。
一応知ってるんだ。



「高田さんだよ。すごくカッコいいでしょ?」

もーすっごい優しいんだ!と冬馬に自慢する勢いで答えたら「ふーん」の一言。リアクション薄


「結構仲良いわけ?」

「俺としては仲良くなりたいと思ってる。」


もちろん腐的な意味で。

画面の中の俺たちは丁度玉ねぎで苦戦しているところだった。うわ。こんなとこカットすればいいのに。



そんな俺らの様子を見てか、冬馬の眉間に皺が寄った。
だよな!普通そうだよな!
幼馴染みにこんな情けない場面見せてごめん!

恥ずかしさにカカカ、と顔が熱くなるのがわかる


そんな俺を一瞥した冬馬はブツッとテレビを消した



………あっ



「微妙。なんか狙ってる感ありすぎてうぜえなこいつ。」

「何てこと言うんだお前…!」


俺お前の上から目線にびっくりだわ


「いちいち腹立つ男だし。俺嫌い。」

「いや、一目見ただけなのに何言ってんの。実際はほんっと優しいんだよ?しかも男前で格好いい」

「それが狙っててうざいんだよ。あー気分最悪。」


そんなに…?


とびっくりしちゃうほど不機嫌になってしまった冬馬

あれかな、高田さんもイケメンだからそれが悔しくなっちゃったのかな。なんて小さい男なんだ。



「大丈夫だ、言いたくはないが冬馬もイケメンじゃん。」

「当たり前だろ」


褒めてやったのに可愛くねえな……!


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