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ほんっと有美ちゃんは何を考えているんだか…
ごめん仕事あるから戻るわ、と俺の頭を一撫でしてこの部屋をでていった高田さん
「また今度な。」って極上スマイル忘れずにね。
お陰さまで変にドキドキしたわこの野郎
高田さんには島崎くんという名の恋人がいるのに…俺はなんて屑やろうなんだぁ……!
一人で机をドンて殴り感傷に浸っているときドアが開く
「あ、起きてたの。」
「高田さん派遣したの有美ちゃんの癖に」
白々しい
そう付け加えると別にいいじゃない、と笑う有美ちゃん
いや。よくねえよ。
「というか眼鏡どうしたの?」
「コンタクト死んだ。」
「ああ、そう。」
なんもツッコまねーんかい
「あ、そういえばこの前撮影した料理番組来週放送されるそうよ。」
「えっ」
早くね?
だって今週中にとったやつじゃんあれ
「まあそこまで長くない内容だし、編集もあんま必要ないんですって。あと元々その日に放送するって決まってたことだし。」
「……へー…」
準備期間短いのな。お疲れさまですスタッフさん。
……ん?来週?
「来週って、ぴったり来週?」
「ええ。7日後の夜6時からだったかしら。」
ずいぶんといい時間帯をくれたわね。と少し驚いてるようすの有美ちゃん
……まあ高田さんだしな。あとテレビ局も教育系だし。
てか一週間後かあ…
今朝送られてきた写真の裏側に書かれていた青い文字の「来週な。」が頭にチラつく
あれマジだったらリアルタイムに見ること不可能なんだけど。
「で、次の撮影が明明後日ね。相手は女優さん」
「誰?」
「ほら、最近結婚したっていう…」
「あー。」
あの人か
結構俺に優しくしてくれた人
高田さんとも仲良しだった気がするなあ…
てか、この前はゲスト教えてくれなかったのに今日は教えてくれるんだな。
「次はなんだったかしら。ビーフシチューですって」
「レシピあんの?」
「あとで送っておくわ。」
「了解」
まあおれとしては王道なメニュー多くて助かるんだけど
「まあ頑張りなさいね」
いつもの悠長な声で有美ちゃんが言った
他人事なんだから…
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