仕事と休憩



今日は季節の変わり目に向けてのファッション撮影

あっついのにすでに秋の服を着なきゃいけないから、俺としてはツラい。



特に外で撮影とか、


やばいでしょ。




「暑いよ、有美ちゃん。」

「我慢しなさい。」



これ、10回目くらい繰り返した会話
ストール暑い。



夏バテになったらどうする気だ。この野郎。
昨日の高田さんとの番組収録の疲れが取れてねーっつーのに。



「おい、篠原」


ん?


パタパタと借りてるうちわを扇いでいると、隣の方からある男性の声



「あ、志水」


今日一緒に撮影する事になってるモデル
何度か一緒に仕事して、ついでに同い年だからタメ口


別に顔だけは俺広いし。
交遊関係は少ないけど!!



「この後撮影終わったら一旦スタジオ戻るってよ」

「あ、そうなの?」


うちわで志水を軽く扇いでやる
すると「あ゛ー涼しい」と志水は満足そう


見た目的な説明をすると、志水はふっつうにイケメン
性格はサバサバしてて黒髪


芸能界ではそこそこ仲の良い方だけど、完全にノンケだから俺としてはあんま興味ない
高田さん島崎くんみたいなあの独特な雰囲気がない



「つか、お前昨日高田さんと一緒に収録したんだって?」


どこから聞いたその話
昨日撮影したばっかなんですけど



「あー、そうそう。料理番組。」

「え?お前料理出来んの?」

「そこそこ。」


驚いた様子の志水。超意外そう。
なんでだよ。


「篠原 顔もよくて料理もできるとか、どんだけ。」

「顔はそこまでじゃねーよ」


お前の方がイケメンだと思うけどな。

俺の言葉にちょっと怪訝そうな顔した志水。意味わからん。




「篠原くーん髪直しさせてー」

「あ、はい。」


さすがに汗を掻いちゃうから、ヘアメイクさんが寄ってきた


志水ももう一人のヘアメイクさんに直してもらってる





「島崎にも気に入られてるんだってー?お前」


だからどこで聞いたんだってそんな話


「別に気に入られてるって訳じゃ…俺も島崎くん頼りにしてるし。」

「ふーん。」


なんか興味なさそうに繋がれる相づち
聞いといてなんだよ。


「あいつも19なのに引っ張りだこで大変だよな」

「すごいよなぁホント」


俺19ん時普通に専門いってたわ。
腐れ縁と一緒の学校になってまじ苦痛だったわ
あいつドSだから


「もう22か…。」

「そうだな…」


しみじみとおっさんくさい雰囲気になった時、カメラマンさんから準備してくれとのこと。




ツラ………。




だるい体で立ち上がった。

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