夜11時
ちょっと眠い。



疲労はいつもの4倍くらい。






「あっ!!!篠原さん!!!」





「ん?」





声の方を振り向いてみると、見えるはずのない尻尾をパタパタさせながらこっちに向かってきてる島崎くんが居た。この時間にいるなんて珍しい。


てか、今日もイケメンだなぁ。



「あー、島崎くん。」


疲れてる俺にはその若々しいオーラが眩しいよ…。
ふわって感じで笑ってる顔は癒されるけどね。やばい、元気100倍。



「こんばんわー、篠原さん今撮影終わりなんですか?」

「うん、あ、この間言ってた料理番組の撮影だったんだ。」

「そうだったんですか!」




この度はお世話になりました、とお礼を言うと照れたようにはにかむ彼
くそ。可愛いな。



「それはお疲れさまでした。」

「うんありがと。島崎くんは今から撮影かな?」

「はい、ちょっとした番組なんですけどねー。深夜番組です。」

「そっかぁ、頑張ってな。」



応援の意味をこめて銀色の髪を撫でてあげる。だってワンコみたいで可愛いんだもん。
…まぁ、俺の方が身長小さいから少し背伸びしてる状態なんだけど。



「あ、ありがとうございます…」



そんな俺の行動にさっきよりも赤くなっちゃった島崎くん
目を軽く伏せて俺の手に自分の手を重ねてきた


やべぇ…!
なにこの子!天使!
天使の手に触っちゃったよ…!



「島崎くんは可愛いなぁ…!」

「えっ」


もっと撫でくりまわしちゃおう
染めてるのに全然痛んでない髪が謎。銀色が綺麗


むしろふわふわしてて気持ちいーずっと撫でてたいわぁ


あぁ、高田さんは毎日この髪をいとおしそうに撫でてるんだろうな。なにそれ羨ましい。



「…し、のはらさん…」


あ。やべ。


「あーごめん、廊下でこんなことされちゃうと島崎くんの顔が立たないよね」


島崎くんの声に慌てて我に返る。俺は廊下でなんと言うことを…!


「別に俺としては構わないですよ?」


コテンと首を傾げながら笑う島崎くん


え!まじで!?
そんな事言ったら俺調子に乗っちゃうぜ!?


「も、もっと撫でてもいいの…?」

「全然いいですよ。あ、そしたら俺も篠原さんの撫でてみたいです。」


ドキドキしながら、聞いてみたらあのへにゃってした笑顔を向けてくれた


ふぉおおぉお!!!
俺腐男子なのにさらに変態になっちゃうよお


え、でもなんで俺の頭撫でたいんだ?



「全然いいよー」

「やったぁ」


別にそんな聞くほどでもないだろう
それでもそんな嬉しそうな顔をされるとこっちまで顔が綻んだ


かあわいいなぁあ
イケメンだけど年下だからかな、なんだか可愛く見えて仕方ない



「篠原さん年上だからスキンシップとっちゃダメなんだろうなぁって思ってたんで」


いやいや酔っぱらったときすげぇスキンシップとってきたけどな


とか思うけど黙っとこう。
この爽やかな笑顔を崩したくない



「そういえば、今回の出演者誰だったんですか?」

「えっ」


俺の手から指を離して俺の髪に指を通し始める島崎くん
すげえナチュラルな動きでびっくりしちゃったよ…!

なんかお互いに頭撫であってるのって間抜けだな。俺離そう。



「えーと…」

あ、共演者だっけ。


共演者………。




「・・・。」




高田さんじゃーん。




「?篠原さん?」


いや、別に気まずくなる必要ないだろ。

ただなんとなく、だけど…。
なんか、

島崎くん高田さんの話聞くと機嫌悪くなるって言うか…。

俺の口から高田さんの名前聞きたくないのかな?


………でもさ、

それってさ………。




独・占・欲から来てるんじゃないんですか!!?




独占欲とかうめえ最高にうまい



「篠原っさーん」

「うわっ、ごめ」

「疲れてます…?」

「んー、ボーってしちゃった」




嘘だよ!興奮しちゃっただけだよ!

俺の顔を伺おうと首を傾げる島崎くんにドキューンてしちゃって内心さらにテンションアップ


つかんな事より返答しなきゃだよね
後で「なんで言ってくれなかったんですか!」って修羅場になりたくないしね!


「あ、そうそう。出演者はね、高田さんだよ。」


ほんっとに何気なーく言ってみた
思い出したかのような素振りで。


………だっていうのに、



「は?」



雰囲気が一気に変わった




・・・。



独占欲から来たって言っても怖いものは怖いね。




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