5(高田SIDE)

(高田さん視点)






年下よりも年上と聞いたとき、内心ガッツポーズをした


島崎ざまーみろ。



まあ、俺としてはあいつの悔しい顔を見ることが出来るって考えただけで、ちょー清々しいんだけどね。



ぶっちゃけ今日の撮影なんて良いことしかなかった。





「高田さん、あのー…」

「ん?あれ?分量違った?」



俺を気遣ってくれてるのか何度も送られてくる視線


あー…。
上目使いになってるの気づいてないのかね。

篠原くんもそこそこ背高いから見上げることとか少ないだろうけどさ、かなり危ない。可愛すぎる。



しかも後ろに立っているとわかる篠原くんの線の細さとか。
和風美人かっての。

頭下げてるとうなじ見えるからやばい
印を付けたくなる衝動をなんとか抑え、撮影に集中





「料理番組って意外とたのしーね。」

「え、そうですか…?」


あれ、楽しくなかったのかな。
目が泳いでる篠原くんを見てちょっと不満


……まあ気を取り直して…。


「しかも篠原くんのエプロン姿見れたし?」


嫁にしてえ。
こんな奥さん居たら最高なんだけど。


そんな俺の言葉に照れたのか、篠原くんの顔が赤くなった


お。



それで調子に乗った俺は篠原くんを褒めまくる
誉めるっつーか口説いてるっつーか。周りからみたら異常な光景かもしれない。


全力否定してる篠原くん謙虚すぎんだろ



「フォローしてくれてありがとうございます…」


俺としては、結構本気なんだけどな。
鈍感。

つか男相手だからそういう対象に見れねーか普通…。





「……高田さんってタバコ吸うんですか?」



会話が終わった時ふと篠原くんが煙草の事を聞いてきた



「…え。」



焦って聞き直すと、近い距離じゃないと感じられないくらいの匂いらしい
…なんかそれって結構近い距離になってるって事だよな。



「あー…。いや一回禁煙したんだけど最近また始めちゃってさ。色々あっ て。」

「色々…」


あ、篠原くんが深刻そうな顔しちゃった
気にしなくて良いのに


「あるヤツにイライラして、気づいたら吸ってた。」


あのくそ崎ふざけんじゃねえよってくらい篠原くん篠原くんだし、お前は金魚のフンか


とか思ってたら煙草をすってた
やめられない止まらない


最近は俺の肺ニコチンばっかだなたぶん


あ、でももし篠原くん煙草嫌いだったらどうすっかな…
やめるしかない。



「篠原くんはタバコの匂い嫌い?」

「いや、別に嫌いじゃないですけど…」


まじで?良かった

とりあえずひと安心




「あ、さっき高田さんからしたタバコ の匂い、微かに甘い匂いしたんですけどなんて銘柄ですか?」


甘い、匂い?
あの煙草にそんなの入ってない気がする


篠原くんは興味深げ
キラキラしてて可愛い目


「んー…と…」


そんな可愛い目で見ないでほしい
視線のやり場にこまるから。


「え、あの…」

ほら、篠原くんも困った顔してる



「いや、」と言って慌てて煙草の説明
普通だし俺の。


…となると、なんだ。


「香水つけてます?」

「つけてねーけど。」


香水は基本つけない
あんま好きじゃねーし


あー………。



「俺の体臭じゃね?」

自分で言っておきながらなんだけど

え、俺篠原くんに匂い褒められたってこと?
普通にテンションあがる



「ほら。」



試しに、怪訝そうな顔をしている篠原くんに腕を差し出したら匂いを嗅ぎ始めた
…可愛い。犬みたい


思わず頬が緩むのがわかる



「えー、と…」

さっきの匂いと一致したのかみるみる赤くなっていく篠原くん
だからそういうの勘弁してってば



「す、みません!!!っそ、っか。高田さんの匂いだとは思いませんでした!」



必死に謝る彼
まあ俺としては匂いが好きって言って貰えて良かったと思ってるし

人間匂いがダメだと絶対付き合えないしね




「いや、気にしてねーよ。むしろありがと。」


そんな俺のお礼の言葉に再び「すみません」と謝ってきた




我慢できなくて頭をグシャグシャ撫でてやる

柔らかくてサラサラしてて、気持ちいい





残りの収録、篠原くん俺を意識してくれたらいいけど






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