悩みまくった俺の最終手段がこれ。






「わあ、篠原さんの家に来れる日が来るとは思ってませんでした。」


「うん…来てくれてありがと。」




ヘラリと笑ってる島崎くんにハハハ、と苦笑を漏らす。


なんで島崎くんを家に呼んだか?
そんなの料理番組が絡んでるからに決まってるでしょう。


所謂味見。



滅多に会うことのないプライベート姿の島崎くん


今日の島崎くんはいつも以上にかっこいいから少し緊張する、とか、何考えてんの俺。
つか島崎くんまじスタイル良すぎ。足の長さとかパーフェクトすぎる。



「篠原さん料理も出来るんですねー。ますます憧れますよ。」


「あはは、できるって程じゃないんだけどね…。なんかマネージャーが勝手に…。」




島崎くんを部屋に通し、リビングに案内する
ほんと島崎くんには感謝しなくちゃ。


ついでに高田さんとの話も聞きたいなあムフッ



「ごめんな、大事な休憩時間を。」

「いえいえ!むしろ呼んでくれてありがとうございます。俺お腹空いてたんで!」

「…優しいね。」


うわあ、笑顔が眩しい
後光がすごすぎて俺は目を細めることしかできない

島崎くんマジ天使



「うぉ、めっちゃうまそ。」


テーブルの上のご飯達を見て大袈裟に呟く島崎くん
お前まじで優しいな。



「そうでもないよ、実際は…。」


苦笑しながら島崎くんをイスに座らせ、自分も座る


夜だから外は真っ暗。
島崎くんにはほんと悪いことをしちゃったな…。



いただきます、と二人で手を合わせて箸を手に取る


その途中に目があって、なぜか優しく微笑まれた
うわ、イケメン。


っじゃなくて、やべえやべえ。俺が高田さんだったらどうなってたんだろ!やばいんじゃないのこれ!途中でお前を食べるとか言い始めんじゃね!うおおおお


「うまっ!」


という島崎くんの一言によって俺の妄想は消え去った


「え、ほんと?」

「はい、めちゃめちゃ上手いです!篠原さんまじで嫁に来てほしいくらいです。」

「またまたあ。」


むしろお前が高田さんの嫁になってこい今すぐ。
国が許さなくても俺が許す。結婚しろ。



「本気なのになぁ…。」


苦笑してる島崎くん

やめなさい、誤解しちゃうでしょう。仮にも俺腐男子なんだから、男は全員ホモにしかみえねえんだよ。俺狙うやつなんて誰もいねぇけど。


むしろ、高田さんと島崎くんって今どんな関係なの?
そっちの方が気になる



チラリと島崎くんを見てみると本当に美味しそうに食べてくれている。
演技うますぎ。



「ねえ、島崎くん。」
「はい?」


あ、目があった。
やっぱりイケメンってか中性的な顔つきだよなこの子。可愛いよハアハアハアハア

………じゃなくて。



「最近、高田さんとどうなの?」

俺あれ以来二人と会ってなかったし……と付け加えながら島崎くんに聞く
興奮を悟られないようにさりげなーく、普通ーに。


けれどその瞬間みるみる怖くなっていく島崎くんの表情

え゛

こわっ


「なんで高田さんが出てくるんすか。」

眉間に皺を寄せ、普段より低い声を出す島崎くん


「・・・。」


そのワイルドさもまたかっこいいね。なんてお世辞を言う勇気もなくなるくらい怖い彼。


……これ絶対怒らせたよ!!!
なんで!?なんで!?

あ、高田さんは島崎くんのだから!?
だから俺ごときが高田さんの名前出すとか、は?なにお前?みたいな感じなのかな!

ごめんなさい!!!




「え、あ、えと。え?」

焦ってる俺は途切れ途切れにしか言葉がでない

だって島崎くんめっちゃ怖いんだもん!!




「高田さんと連絡取り合ったりしてるんですか。」

「いや、それはしてないよまじ!」


コンマ一秒で答えることができた。
だって本当のことだし。


と、思いきや余計に不機嫌になった島崎くん

どうやら今の早さは逆に怪しいと思われたみたい。そんな。



トン、とぶつかった足にも過剰反応してしまう俺
今すげえビクゥウってしちゃった。恥ずかしい。




「ほ、ほんとだって…。」

その怖さに弱々しい声しかでない


つかなんで俺こんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ!
あれか!萌えには危険がつきものってか!

恐ろしいなまじ!



「高田さんの事、家に入れたことあります?」
「た、高田さん?」


うおお今度は事情聴取始まったよ!
島崎くん高田さんに対しての愛が大きいんだね

俺としては構わないけど、めっちゃ怖いからその顔やめてほしい
きれいな顔が台無しだぜ




「いや、入れたことないよ。むしろ芸能人でこの家に入れたの島崎くんくらいだし…。」


俺、友達いないから…。あは、なんか涙でそう。
今度は冷静に答えることができた。冷静っていうか、泣きそうなだけだけど。





「そ、うなんですか?」


その瞬間、なんだかパッと表情が明るくなった…気がする島崎くん

お、お?
ちょっと良さげ?



「うん。てかこんな事頼めるの、島崎くんくらいだしね。」


島崎くん優しいし、と呟けばまるで犬のようにパアッと表情が明るくなった


うおっしゃ!

機嫌直し成功しました隊長!
やったぜ!!



またいつものようにほんわかした雰囲気に戻った島崎くん
まじひと安心。



「あ、篠原さん、あの写メとったりしてもいいですか?」

「?こんなんで良ければ全然いーよ。」

上機嫌になった島崎くんが指差したのは俺の料理たち。
何に使うのかな、と思いながらカメラのシャッター音を聞く



「ざまあ。」


ボソッ、と何か呟いたけど何を言ったのかは把握できてない俺。

でもたぶん悪いことだな。だって顔が悪魔だもん。
あれ?天使どこ行った。




「また俺の事呼んでくださいね。篠原さんの料理めちゃめちゃ好みなんで。」


再び俺のご飯を食べながら微笑む島崎くん
うっわ、優しい

俺の飯を好きって言ってくれるなんて。


「ありがと。」


クスッと笑いながらお礼を言ったら何故か頬を赤く染めた島崎くん

え、なにそれ可愛い。そうやって高田さんの事落としてるのかな。萌える。



そんで、その顔を隠すようにしてまた箸を進めていってる島崎くんが可愛くて笑ってしまった。


照れ隠しも可愛いな。
女性からしたらイケメンな島崎くんでも男から見たら受けっぽいからな。可愛いってしか思えないんだよね。俺より身長高いけど。






『〜♪』


「ん?」


島崎くんと和やかに飯の続きをしていたら、携帯の着信音が鳴った

誰のかと思えば島崎くんので。


てか、ダース●ーダーの出現音楽なんだけど。
どゆこと。



「?出なくていーの?」

「ああ、ほっといていいですよ。どうせ負け犬からですから。」

「ま、負け犬…?」


島崎くんからそんな言葉が出てくるとは…。
ちょっと男前なところもあるのかな。


つか負け犬って……なんのことだよ。
島崎くんなに考えてるのかわからない。


携帯を開いてニヤニヤ笑ってる島崎くん



「俺今すごく優越感ですよ。」


「ふ、ふーん…?」



ニコリ、と微笑んだ島崎くんなのに腹黒いと感じるのはなぜだろう







(その頃の島崎のメール相手)



「…………チッ」



ざっけんなよ…
何が『愛妻御飯なう(^^)お疲れさまです。』だ。


うっすら写ってる篠原くんの姿
ラフな部屋着姿でカメラの方を不思議そうな顔で眺めている



「……島崎殺す」



携帯を折り曲げそうになりながらも必死に耐えた俺を誰か誉めろ。







ーーー・・・



「ねえ、島崎くん。負け犬って誰?」


「ただのタラシです。」


「………ふーん。」



俺はこの負け犬って言う言葉の相手が高田さんだってことはわからなかった。




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