高田さんが、

高田さんが、

めちゃめちゃ怖いです。





「あの、高田さん。一回落ち着きましょ…」

「俺はいたって冷静だけど?」



やっぱり口だけ薄く笑う高田さん
冷静な人はそんなギラついてて怖い目はしてません。




「じゃあ、その、離れましょ…」

「島崎は良かったのに?」

「・・・。」



この人、話聞いてくれない。
島崎くんとのことは、誤解なのに!



「初めに言っときますけど、島崎くんは酔ってたしキスもしてませんよ!」



自分的にギッと睨みを効かせたからか、少し怯んだ高田さん
ぐ、と唇を軽く噛んでいる。


フッフ、俺の睨みも意外と効くもんだな。
ちょっとドヤ顔




「(上目使いって…)…だぁから、酔ってたら何しても良いワケ?」

「…そういうわけじゃないってさっき言いました…!」



高田さんが俺の腰を引き寄せてきてまた動揺



こんなんじゃ、一向にこの恥ずかしい体制から抜けられねえ…
つか俺が悪いんじゃなくて島崎くんが悪いでしょ!



酔った勢いで俺を押し倒したりするから、高田さんが誤解して俺に八つ当たりを…!!ひどいわっ!



「…まあ、キスしてねぇならいーわ。」



嘆いている俺を察してくれたのか、フイと離れた彼



おおっ、おおおっ!
やっと離れられた!

ホッと胸を撫で下ろす


誤解がとれたようで何より。




「なに。その嬉しそうな顔。」

「はい?」

「・・・何でもないよ。」



そして何故かため息を吐かれた。ナゼ。
吐きたいのは俺の方ですよ



「あ、てかもう3時近いじゃないですか!!」

話を反らすようにして携帯を見たら、ギョッとした
よくこの店こんな遅くまでやってんな…!



「うわ、まじだ。やっぱ芸能人ってなるといろいろ特だな。」



あ、俺ら特別待遇なのか。ラッキー。
高田さんの独り言に納得していると、高田さんが島崎くんを蹴り始めた



!?




「ちょ、高田さん…!」

「なに?」

なに、じゃねえ!
なんか、呻いてるじゃん…!




「島崎くんが可哀想です…よ」




あ、また怖い目だ。


こっわ、うわこっわ。



その怖さに無言
お前には関係ねえだろってか。すみません。



「だいじょーぶだよ。こいつ頑丈だから。」
「いってええええええよ大丈夫じゃねえよ!!!」


・・・。
二人の言葉がハモった。



あれ?てか、島崎くん、キャラが…あれ?



「高田さんいい加減にしてください。いってーんだけど。」


「元気そうじゃねえか。よし帰るぞ。」



ドス黒い島崎くんと満面の笑みの高田さん。
どうして、ラブラブ甘甘雰囲気にならないの。


こんな間に居たくないデス…。


てか島崎くんお腹押さえてるけど大丈夫なのだろうか。


「だ、いじょうぶ?島崎くん。」
「大丈夫です。篠原さんは優しいですね。」


一応心配で声を掛けてみたら即座に返事が来たから意外と元気そう。
手握られた意味がわからない



ってか、ほらまた!
高田さんの目がヤバイことに!!



「っ、てか割り勘しましょ割り勘!」

慌てて島崎くんの手を離した




高田さんたら、島崎くんにあんなひどい仕打ちしてるのにやっぱ他人と仲良くされるのは嫌なんですね…!嫉妬…!独占欲…!


最高だ…!!



「篠原くんはどうやって帰るの?」

「あ、うーんと…タクシーでも拾って帰ります。」

「俺のマネージャー使いましょうか?」

「!?ま、マネージャーさん使うの…!?」



俺にはそんな勇気ないよ!
有美ちゃんに言ったら『は?何言ってんのあんた。もう少し一人前になってから私に命令して』で終わるよ!
島崎くん恐るべし!



「え。…ああ、篠原くんのマネージャー女なんだっけ。」



いやいや、高田さんも何驚いてるの。
てかマネージャーさんをそんなコキ使うのって二人ぐらいじゃ…。


「タクシーじゃなんだし、俺ので送っていきますよ?」


篠:「え?」

高:「は?」

島:「はい?」


島崎くんが優しい言葉をくれたと思ったら高田さんがひどい顔をした。


許せないですよね。恋人が他人と一緒にいるなんて。わかります。

むしろ二人が一緒に帰れよ!!!



「んー、ありがと。でもいいわ。俺タクシーで帰るから。」


島崎くんにお礼を言ってお店を出る

さすがに眠いし、疲れたし。
今日はいっぱい妄想したしね。

失礼します、と高田さんと島崎くんに頭を下げてから足を進める



後ろの方で高田さんと島崎くんがなにか言い合ってたけど、まさかの公開痴話喧嘩だったのだろうか


くっ、見逃してしまったぜ!




タクシーの中で後悔しまくりながら頭を抱えた。


想像通り大人な高田さんと、
ニコニコ優しい島崎くん
島崎くん時々不良だったけど。


なんだかんだ言って、二人と親密な関係になれて幸せな一日でした。





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