なんか…なんか…
どうしよ…




神的存在の高田さんと二人きりだから、自分が何を話しているかがわからないなう。



「篠原くんって休日何してんの?」
「あー…ネット…とかですかね。あと気分が向いたら映画を見に行ったり。」

「へぇ。」


肘をついて軽く微笑を浮かべている高田さん



……あのですね…、


高田さんがとんでもない色気で俺に質問攻めをしてくるんですけど


緊張からかうまく話せません。



だってかっこよすぎでしょうが…!
さすが攻めの王様



「映画つったら俺洋画を時々見るくらいだなぁ。何かオススメある?」
「あ、えっと、洋画だったらー…」


こうやって話題まで出してくれるしね。
大人の優しさってやつかな



んで好きな人(島崎くん)には意地悪になるという美味しさうめえうめえ
島崎くん今死んでるけど


なんでだろうね




「てか、あの…島崎くんはどうしたんですか?」

「……島崎なんてどうでもいいだろ?」


恐る恐る訊ねた俺にたいしてニコリと微笑む彼
俺の質問呆気なく大破




す、すみません!!!

あれかな、お前には関係ないだろ的な独占欲かな
ごめんなさいまじ美味しすぎますすみません



「まぁ敢えて言うなら、先輩として指導したら気絶しちゃったって感じかな。」


「・・・。」


指導って、なに。



てか、あの、目が笑ってないんですけど
口は笑ってるんですけど、目が……怖い……



「気になる?島崎のこと」

「えっ」


首を傾げながら何気なく聞いてくる高田さん

なにこれ何フラグ?



『島崎は俺の事好きだからお前は片想いで終わるぜ?』っていう牽制フラグ?え、なにそれたぎる



うーん、美味しい展開にするにはどっちを選ぶべき?
でもここでライバルって思われて距離をとられるのも嫌だなぁ



「普通に後輩としていい子ですよね。」


やっぱりパンピー装って普通に行こう
俺は一般ピーポー


「…ふーん。ならいいわ。」



俺の答えに今までにない満足気な顔を浮かべた高田さん


あ、俺が島崎くんに興味無いってことを知って安心しましたか。
大丈夫ですよあなたの恋人を奪うような野暮なことはしませんむしろ応援してるから、応援してるからもっと攻めろ!!




「高田さんはどう思ってるんですか?島崎くんのこと」



さあさあさあ!!どう答える高田氏!!
『かわいいと思う』それとも『俺の恋人だけど?』
どっちを選ぶんですかね!!
俺的には堂々と恋人宣言してほs…






「ただのクソガキ。」







・・・。




「はい?」





あれ……耳がおかしいのかな…
まさかの発言……え?
照れ隠し?




「ただのクソガキだと思うね。あんなに生意気だし」


またさっきのような遠い目で笑みを浮かべてる高田さん



俺の予想を遥か斜め上方向に行ってしまったんですけど…!



本気で言ってるように聞こえるのは俺の耳が腐ってるからであって、まじ使い物になっていないから、そう聞こえるだけで。



本当は愛情の裏返しなんだよね………!!!?




「ま、またまたあ、そんな事言って…」

「いやいやまじ。」

ハハハと空笑いを上げる高田さん



……いや、あれだよ。
もしかしたら自分の気持ちに気づいてないだけなのかもね、うん。
むしろ絶対そうだろっていう。


ホモ小説にはな、嫌い→気づいたら気になる存在→好き→大好きっていう段階があるからな

きっとまだはじめの段階だったんだよな!
これからなのかぁ。そんな大事な時に二人に巡り敢えて良かったです。

で付き合うまで俺が導いてやる!!!!




「そういえばさ。」

「はい?」


高田さんの声に軽くビクッとなる俺
こんな事考えてるなんてバレたら完全に引かれるからね…!


「さっき、島崎と何やってたの?」

「・・・」




キタアアアアアアアア
この質問来てしまったかあああああああ

絶対怒ってるよね?
俺の島崎となにやってたの?殺すよ?っていう幻聴が聞こえるごめんなさい殺さないで…!
違う!決して!浮気をしてたんじゃなくて…!




「篠原くん?」

ニコリと首をかしげる彼

それが怖いんですよ!


「あ、えっと、特になにも…。」

「押し倒されてて?」


怖ぇ!!どうしよう!
怒ってるよねこれ!怖いよ!
だからその口だけ笑うって顔は止めてください!



「でもほんと、あの、島崎くん酔っぱらってましたし…」

「酔っぱらってたら何しても良いわけ?俺でも?」

「いや、そういう訳じゃ…」


なにこの状況
高田さん怖すぎワロタ
どうしよう俺まじで泣きそう


「でも本当に俺押し倒されただけですし…!」

「へえ?」



「はい、だから…っわ!?」



その瞬間俺の視界が反転して気がついたら俺の目の前に高田さんの顔が。


!?

何が起きたの


「それだけ?」

高田さんの髪が揺れて、フワリと漂う甘い匂い
その匂いに頭が痺れていく


色気とかっこよさが…すごすぎるんですけど

この人に押し倒されて拒むことの出来る人はいるだろうか。いやいないだろう。



とか余裕ぶっこいてる事もできずハクハクする俺の口
だって近いし!良い匂いするし!
かっこいいし!?



「く、びに顔を埋められたり…?」



焦っている俺はばか正直に答える
本当にバカだよね

言う必要なんてないのに



「ちょっ!?高田さ…」
「それで?」

俺が言った途端に、俺を抱き寄せ俺の首に顔を埋めてきた高田さん
さっきと何が違うって俺が高田さんの足に股がっているということで。


ナニコレドユコト


「あ、あああぁあ……?」



ぐあああああああ何がオコッテルンダヨオオオオ

だめだ意味がわからなすぎてカタコトになってしまう


つか、声が!息が!
首にダイレクトにかかる!
あれ!?唇首に当たってません!?しっとりしたのが当たってるんですけど!!



「いや、えーと、あの、高田さん…?」

「…篠原くん、香水かなんか使ってる?」

「っ、ぃ、え…!使ってないです!シャンプーとかじゃないですかね…!」



ふーん、と言ってまたスンスンと俺の髪に鼻を当てる彼
2度目のクンカクンカ攻撃ですかい
新手の苛めなの…!?

すっごく背骨がゾワゾワするしくすぐったいし、
高田さん良い匂いするし、どうしよう



「で、島崎にその後何されたの?」



まだ続きますか!!

高田さんの言葉にギョッとする

高田さんには島崎くんがいるじゃないか!!
あ、もしかして高田さんも酔ってる?
むしろ欲求不満?



あー、そういや攻めの人って下半身バカ多いもんな
浮気攻め?



だけれど俺はそういうの好きじゃない!
受けを溺愛しなければ許さない!!
浮気!ダメ!絶対!



「だから、なにも、してませんて!」



グググと高田さんの胸板を押すけど、逆に腰を強く引っ張られてしまってすごい距離に


こういうのを瞬きが聞こえそうな距離って言うんだろうね!!



てか俺はそれどころじゃない本当に。




「キスは?」

「はい?!」


キキキキス!?

んなバカな!あなたに恋している島崎くんが俺にキスなんてするわけないじゃまいか!


これ以上近づけないというのに近づいてくる高田さん





誤解だよおおおお!!!

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