頭に乗せられた手を払い落として会長をもう一度睨む
うぅ、くっそ、むかつくぜぇ・・・!


「ほら、お手」

「ほっざけえええ!!!」


えっ?なめてんの?まじでこいつ俺の事なめてね?
完全に犬扱いじゃねぇ?

会長が右手を出してきたから、それに全力で手をたたきつける
『パーーンッ』と乾いた音が盛大に響いて、あれ、これ俺ちゃっかりお手してんじゃんと気づいた


「あっはっは!おい藤!おまえこいつにお手仕込んだか?」

「!?」


突然会長が爆笑したから、ビビった
いつもの鼻笑いじゃなくて、普通に笑ってる

え、な、なっ、なに


「ば、馬鹿にすんなよ!」


我に返ってソファをダンダンッと叩きながら会長に吠える

はあはあ、くそ・・・すげえ息切れる・・・
なんだこれ・・お酒パワーかよ・・
クラクラがさっきよりひどい


「俺んちのコマそっくりだわ。」


・・・コマ?


「な、なんだよコマって・・・」


コソコソと藤に尋ねる
あれ、なんか、近くで見て気づいたけど藤の耳めっちゃピアス穴あいてね。
何個あいてるのこれ

意識が耳たぶに行ってる間に、「・・・うーん。」と渋い声をあげた藤
なんだよ、その微妙な声


「辻先輩んちのコーギー。…すごい間抜けだけど」

「・・・。」


なるほどね。
後半要らなくねえか藤。
つかコーギーて。短足っていいてえのか?あ?


「いいじゃんコーギー!シュンシュンにお似合いだぜ!」

「どうせ短足ですよ!!!!」

「いっってぇ…」


ソファに思いっきり項垂れてそのまま頭を藤の膝にダイブさせる
ああああ藤ぃいみんな俺をいじめるよおおあああ


「うぅ、うぅう・・・おうち帰りたい・・・」


藤が痛みを訴えても無視してグリグリとおでこを太ももに擦りつける
獅子尾先輩はゲラゲラ笑ってるし、会長は俺に言うだけ言って携帯弄り始めたし・・・


「今から帰る?」

「嘘ですよー、おいてくださいー」


帰れるわけねえだろ馬鹿ぁ
ぐずる俺の頭を笑いながら撫でる藤

おぉ、藤の生笑顔だ
酔ってるから焦点がうまく合わないけど、やっぱり新鮮だー


「仮眠室あるから今日そこで寝てきな。」

「…いいの?」

「大丈夫。俺も寝るけど。」


仮眠室って、さっきの所か。
つまり藤も泊まってくのね。

てかここ本当いい溜まり場だなあ。金持ちだからできる事か。



「ほら、シュンシュン、まだ飲むだろ?」

「えっ?」


藤の膝に寝そべってる俺の目線と合わせるように先輩が現れた
両手には違う色の酒が入ってるグラス


「ぇえ?俺もう十分酔ってますよー」

「意識があるなら、まだ酔ってるとは言わないぜ」

「・・・んん?」


意味が分からなくて助けを求めようとチラリと藤をみるが、諦めろといわんばかりに首を振ってる
えっ、もしかしてまだ飲むの!?俺少し気持ち悪くなってきたんだけど…!


「先輩の酒、断るわけねえよなぁ?」


にっこりと笑った獅子尾先輩の顔が怖くて、頷くしかない俺


そもそも俺ら未成年なのに!ね!
うわー、さっき流れで飲んだけどこれ悠哉にばれたら怒られるレベルじゃない

何されるかわからないレベルだぞ!!!



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